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ライオンと魔女
The Lion,The Witch and The Wardrobe

C.S.ルイス
C.S.Lewis

岩波少年文庫


ぱおー。ファンタジー史上あまりにも有名で重要なナルニア国ものがたりシリーズの第一巻であります。

ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人兄弟は、地方の大きなお屋敷にやってきます。ある日、お屋敷の中でかくれんぼをしていて、末っ子のルーシィが衣装ダンスの中に隠れるのですが、その中は現実とは全く別の世界。コートをかき分けて奥へ進んでいくと、床はいつの間にか雪の降り積もる地面に変わり、街灯が立っています。なんとそこはナルニア国だったのです。

ルーシィはそこでフォーンのタムナスさんに出会い、彼の家にお呼ばれして温かいお茶とお菓子をごちそうになるのですが、フォーンさんはなぜか泣きはじめる始末。実は彼は悪い魔女に命令され、人間の子供を見つけたらさらってくるように言われていたのです。彼はすべてをうち明け、ルーシィを送っていきます。ルーシィは無事にお屋敷の部屋に戻るのですが、ほかの3人に話しても誰も信じてくれません。

数日後、今度はエドマンドがナルニア国にさまよい込むのですが、魔女にお菓子でもって手なずけられてしまい、ナルニア国が実際に存在することを否定してしまいます。これではルーシィがうそつきになってしまう。でもエドマンドはお菓子のために正義を曲げてしまうのです。

そしてとうとう4人がナルニア国に入っていく日がやってきます。ビーバーの夫婦にもてなされるのですが、エドマンドはこっそりと抜け出して魔女のところへ。そこから大変なことが始まります。ナルニア国を永遠の冬に閉じこめている魔女。その悪の支配からナルニアを解放するためには、どうしてもライオンのアスランの力が必要です。そしてとうとうアスランが姿を現すのですが、こともあろうにアスランは魔女に石にかえられてしまい・・・

「ナルニア国ものがたり」は、「指輪物語」、「ゲド戦記」と並ぶ、ファンタジーの古典的名作です。「指輪物語」のように取っつきにくくもなく、「ゲド戦記」のように重厚でもなく、子供向けファンタジーとしてよくできたお話なので、ファンタジーの入門書としてちょうどいいのではないでしょうか。

でも、子供向けとはいっても、古典的名作の名をほしいままにしているだけあって、決して侮れる作品ではありません。子供たちやそのほかのキャラクターがとても生き生きとしていて、またストーリーもはらはらどきどきの連続。それだけではなく、子供心にも訴えかけてくるサムシングがあるように思います。たとえば最初は裏切り者だったエドマンドも、のちに自分の間違いに気づき、最後には立派な王様になります。人生の難しいことはわからない子供にも、正しいことと間違ったこと、そしてたとえ間違ったこと、愚かなことをしても、どうしたら正しくて賢明な道に戻れるかを教えてくれるのです。それも、教訓臭くなく、とても楽しいお話を通じて。

ボクは大人になってから読んだのですが、できれば子供の頃に読みたかったです。そして、折に触れて読み返したくなる作品でもあります。あんまりよかったので、原書でも読んでしまいました。作者の子供たちを慈しむ目、子供の心を失わないまま大人になったその内面を感じさせる、心地よさがあります。何よりも、書いている本人が楽しんでいるようでほほえましくなります。そして、作者の慈しみの目はこの世の中そのものにも向けられているように思うのですが、みなさんはどうお感じでしょうか。

☆魔女がエドマンドを手なずけるために食べさせたターキッシュ・デライトって、どんなお菓子なんでしょう。兄弟を裏切らせたくらいだから、きっとものすごくおいしいんでしょうね。甘党のボクはどうも気になってしまうのです。






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