おすすめ本































































風にのってきたメアリー・ポピンズ
Mary Poppins

P.L.トラヴァース作
P.L.Travers

岩波少年文庫


桜町通りに住む銀行家のバンクスさんの家には、ちょっと旧式なバンクスさんと優しい奥さん、ジェーンとマイケル、双子のジョンとバーバラの4人の子供たち、料理番のブリルばあやとメイドのエレン、芝刈りその他をするロバートソン・アイが住んでいます。子供たちの世話をするケティばあやが出ていってしまい、子供たちの世話をする人を捜すところからお話は始まります。

 突然一陣の東風が吹いて、その風に運ばれたように子供たち曰く「ちょっと木のオランダ人形みたい」なメアリー・ポピンズが現れるのでした。

 中身が空っぽのバッグから、エプロン、香水、椅子まで取りだしてしまい、一本のビンとスプーンでそれぞれに違う飲み物を作り出してしまうメアリー・ポピンズはたちまち子供たちの心を惹き付け、バンクス家での暮らしが始まります。

 メアリー・ポピンズにはいろいろ知り合いがいて、マッチ売りで絵描きのバートや、笑い出すと上にのぼってしまうアルバートおじさんなど、皆ちょっと変わった人たちでした・・・。

 小学生の時にこの作品を読んで、全4冊読破してすっかりはまってしまったお話です。でも今となっては映画の印象の方が勝っているところが何と言うべきか・・・。バートはディック・バン・ダイクの顔して出てくるし、鳩のおばあさんのところでは頭の中で「2ペンスを鳩に」の歌が流れてやまないのです。

 でも原作はもっとシニカルなんですよね。メアリー・ポピンズはジュリー・アンドリュースみたいにきれいで優しくないし。まあ、決して優しくないってこともないんですが、パッと目はむしろつんけんした感じでまして美人の印象からは遠い人ですね。若くもなさそうだし。でもとても有能で(何分正真正銘マジックハンドを持ってますから)、歯に衣着せぬ物言いは爽快です。

 メアリー・ポピンズと子供たちは散歩に出かけたりしては、ちょっとした冒険に足をつっこむわけですが、それらは頼もしい保護者つきの必ず日常生活に帰れる保証つきの安全な冒険です。この辺はスリルやサスペンスにとんだ冒険ファンタジーとは趣が違って今時のハラハラドキドキファンタジーに慣れた人には物足りないかもしれませんが、日常生活の一こま一こまから繰り出されるファンタジーの面白さも味わって欲しいです。イギリスの家庭生活の模様もわかりますし。

 挿し絵はメアリー・シェパードで、やっぱりこの人の挿し絵がないとメアリー・ポピンズとは思えないのでした。

第2巻 帰ってきたメアリー・ポピンズ
第3巻 とびらをあけるメアリー・ポピンズ
第4巻 公園のメアリー・ポピンズ
別巻? メアリー・ポピンズ AからZまで

☆バンクスさんのところって、つまり使用人が4人!すごく広い家でお金持ちってこと?






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