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銀色の髪の亜里沙


和田 慎二


一流企業の社長令嬢、本条亜里沙はお金持ちの娘として優しい両親と親友達に囲まれ幸せな日々を送っていた。しかし、ある日突然父親が交通事故で死亡。会社の乗っ取りを企む重役達の仕業で、亜里沙の親友である彼らの娘たちは、父親の死の悲しみを紛らわす口実で亜里沙を山奥にハイキングに誘い出し、彼女を谷底に転落させてしまう。奇跡的に助かった亜里沙は、過去に調査にやってきたまま地下窟から出られなくなった老夫妻に救われ、彼らから色々な知恵を授かる。時は流れ、老夫妻の死を機に、亜里沙は決死の脱出を図る。地下で採掘した翡翠を元手に、両親を死に追いやり、会社を乗っ取った一味に対する亜里沙の復讐が始まる。

73年に別冊マーガレットに載った作品です。後に「スケバン刑事」などでさらに飛躍した和田慎二の出世作と言われる作品だそうです。

タイトルは日の当たらない地下窟で長年過ごした亜里沙の髪の色が白を通り越して銀色になってしまったところから来ています。

典型的な悪役達による野望の成就とそれに対する復讐劇です。この恵まれた環境や家族を奪われた娘が、長い年月をかけて自分を磨いた後に再び姿を変えて登場し、復讐を誓うというのは当時の流行だったんでしょうか。和田慎二と共に別マの2大巨頭と言われた美内すずえにも同じパターンの作品がいくつかありました。世の中が復讐ブームだったとか!?まさかね・・・(苦笑)。

地下に潜っている間(レジスタンスみたい。ある意味レジスタンスですね)、亜里沙には学者夫妻から様々な教育が施されます。復讐物ではこれが第一のポイント。何よりも頭脳明晰、博学にならなければなりません。それから、地下の過酷な自然が亜里沙の体を強靱にし、並はずれた運動神経を備えさせることになります。そして、軍資金は必ず地下に埋蔵されているもの。これらは当時の復讐劇の必須アイテムでした。

さてさて、名を変えて外見を変えた亜里沙はかつての自分の学校に乗り込み、自分を窮地に追いやったかつての友人達のそれぞれ一番の強みであり、同時に弱点であるところをついて復讐を繰り広げていきます。彼女の心にあるのは「復讐」の文字だけで、それを遂げるためには手段を選ばないし、一筋の同情さえ抱かない。早い話、警察に駆け込んで事件を暴露すれば良さそうなものなんだけれど、証拠もないしねえ。彼女の心は、日の当たらない地下同様氷ついたかのようでさえあります。

そんな彼女が昔の親友の1人で、ただ1人彼女の味方だった美尾に見せる微笑みだけが昔と同じだったってところはちょっとジーンとなります。

まあいかにも昔のパターンのマンガなんですが、それがまた懐かしい。思い出を誘う一冊です。別マ、毎月買ってたものね。


☆復讐のヒロインは船で世界を回るべし。これまた必須アイテム。





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