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MONTHLY PLANET


横山 えいじ


ぱおー。横山えいじさんはボクの大好きなギャグ漫画家の一人です。このマンガはSFマガジンに連載されたもの。SF専門誌に発表されていたため、ギャグマンガでありながらSFファンの心をくすぐるようなディープなネタが満載です。

とある惑星にある新聞社「マンスリー・プラネット社」。編集長と記者のマリ子ちゃんの二人だけの超弱小新聞社です。人々はたいてい大手の新聞を読んでいるため部数が伸びません。何しろ月刊新聞なのです。それどころか、マリ子ちゃん自身がガリ版で新聞を印刷している始末!

編集長は中古で安かったからと言って何の役にも立たないタイムマシンや物質転送機やコンピューターを買ってくるし、事業拡張に雇った新入社員のススム君はロボットで、しかも特技が袋貼りと造花作りの内職! ほとんど何の役にも立ちません。それでもマリ子ちゃんはスクープを求めて宇宙を駆けめぐるのでした。

実はマリ子ちゃんには秘密がありました。新聞社の記者であると同時に、正義のヒーロー、スーパー・プラネットでもあったのです。大怪獣が暴れていたりするとすかさず変身し、人々を助けるのです。ところが、スーパーヒーロー業界も供給過多で、スーパー・プラネットが活躍する機会もあまりありません。とくに、ライバルのウルトラ・スペースには先を越されてばかり。

そして、ある出来事がきっかけでマリ子ちゃんたちはタイム・パトロールを野球のバットでもって引っかけ、時空を股にかけての大冒険の果てに、ススム君のとんでもない秘密を知るのでした・・・

横山えいじさんのマンガは、なんといってもまず絵が底抜けに楽しい。絵だけ見てても大笑いできます。そして、テンポがすごくいい。ギャグマンガの王道です。読者に立ち止まるスキを与えず、ギャグのつるべ打ちでどんどん読ませてしまいます。まさに、一ページに必ずひとつは笑えるところがあります。

逆に、SFマニアでないと笑えないところもかなりあります。マニアだったら、それこそ涙の出るようなネタばかり。たとえば映画「禁断の惑星」に出てきたイドの怪物だけで延々と笑わせたりします。でも、SFマニアでなくてもご安心を。ドジなタイム・パトロールや「山田いるかあ〜」と言って物質転送機から出てくる怪獣は誰でも大爆笑してしまいます。

こんなに生きのいいギャグマンガは、少年マンガでもなかなかないのではないでしょうか。シチュエーションだけで笑わせようとするマンガが多いなかで、純粋にギャグだけで笑わせようとするこの姿勢には頭が下がります。まさに直球勝負。横山えいじさんはSFファン以外の人にはなじみが薄いかもしれないので、ぜひ手にとってほしいです。

☆同じくSFマガジンに連載された「宇宙大雑貨」「ルンナ姫放浪記」も大ケッサク。何より、この人の描くキャラクターはなじみやすくて、ほっとさせられます。

早川書房からソフトカバーと文庫で刊行




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