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あーらわが殿!


木原 としえ


あの「摩利と新吾」の姉妹編です。と言ってもこちらの方がずっと前の作品。昭和47年から48年にかけて週刊マーガレットに連載されていたものです。摩利や新吾は勿論、麿さんや将鬼さん、白菊丸君などおなじみのキャラクターが登場します。

時は明治、隣り合うなでしこ女学院と男子校の持堂院は政府が行う男女共学のテスト校として選ばれ、選抜されたメンバーが同じ教室で合同授業を行うことになります。なでしこ女学院のみちる、八千代、みずほの仲良し3人組もメンバーに選ばれ女性のプライドをかけて授業にのぞみます。そこで出逢った面々は血気盛んな明治男新吾君、華麗なプレーボーイ摩利君、大人の落ち着きの麿さん、力仕事御用達の将鬼さんなど、個性派ぞろいの麗しい殿方。男尊女卑の固まりだった新吾君はなでしこ女学院の教師千鶴先生に恋をし、そんな新吾君に恋するみちる、と互いの思いが入り乱れて・・・。

この作品では主人公はみちるです。あくまで女性の視点から見た話であるところが、後年の「摩利と新吾」との大きな違いですね。新吾君は純朴ながら、男尊女卑の固まりとして登場するし、麗しの摩利君は相変わらず切ない思いを心に抱いているとはいうものの、もっと明るくてもうちょっと単純。そしてこの作品オリジナルの麿さんと千鶴先生のロマンス。千鶴先生はきりりとした強くて頭の切れる、そして美しく典雅な素敵な女性です。「摩利と新吾」の中にも千鶴先生を凌駕する女性は出てこないですね。
それから好きだったのは八千代。摩利君が松の柄の着物を着ていることが多いからと、「松の君」という呼び名をつける才色兼備の女性です。頭が良すぎてプライドが邪魔をしそうなところなんですが、素直な心も持っていて、相手の目をまっすぐに見て「摩利君が好き」とはっきり言える背筋がシャンと伸びた女性です。明治女性の心意気か。摩利君も新吾君も麿さんもみんな素敵だけれど、相対する女性陣が負けないくらい素敵に描かれた作品だと思います。

時は明治、舞台は旧制高校。奇抜な題材で大人気と書いてありましたが、そうでしょうね。初めて見る世界の連続で、新鮮な驚きで大好きな作品でした。だからスケールアップした「摩利と新吾」の登場は嬉しかったですね。でも私の原点はこの作品でしたから、登場人物の違いにちょっと違和感を持ち続けたのも事実。千鶴先生や八千代さんなんて、「摩利と新吾」でも登場させて欲しかったですね。まあその分殿方陣がよりどりみどりで登場してくれましたが。

「摩利と新吾」を読んだ方は是非ご一読を。


☆「オックスフォード、では私も参ります」なんて言ってみたいものですね。摩利君相手に。


マーガレットコミックス(勿論絶版でしょう)、秋田文庫で刊行





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