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故郷は自らの手で
・・・「なつかしい故郷へ 後編」
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なつかしい町に帰ってきた人々が目にしたのは、荒れ果てた町だった。人気がなくて、雑草がはびこり、教会はほこりだらけ。彼らがウィノカにいたときに夢に見た町は、もう以前の様子を留めていなかった。
町の創立者ハンソンが病床に伏しているのを知り、人々は自らの手で町の再建を始める。
ウォルナットグローブは人々の故郷だった。一般に故郷というのは自分の生まれ育った地を指すことが多い。しかし、多くの人々がここで生まれたわけではない。チャールズやキャロライン、メアリーやローラやキャリーでさえ、むしろ大きな森のあるウィスコンシンの方が故郷と呼ぶにはふさわしいはずだ。町の創立者ハンソンでさえ、ここへ移って町を築いたのであってここで生まれたのではないのだろう。それなのに、彼らは自らここを故郷と定める。その地が素晴らしいから。そこに住む人々が素晴らしいから。理由は色々あるだろう。
アメリカは移民の国だ。ヨーロッパその他から移民してきた人々が国を築き、さらに西へ西へと自分の居場所を探して旅を続けながら発展してきた国だ。自分の家、自分の町を自らの手で作り出す気概にあふれている。多くの人々にとって、故郷は自分で選び自分で作り出す場所なのかもしれない。
西部開拓の歴史をしみじみと感じさせる一編だった。
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