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ロック・ユー!



A KNIGHT'S TALE

2001年アメリカ映画
 カラー 132分

監督 ブライアン・ヘルゲランド
出演 ヒース・レジャー ルーファス・シーウェル
シャニン・ソサモン マーク・アディ
   ポール・ベタニー アラン・テュディック
 ローラ・フレイザー


中世ヨーロッパでは、騎士たちが各地を回って馬上槍試合や剣の試合をしてその腕を競う大会が行われていた。そんな1人エクスター卿がある日突然試合の後に息絶える。彼の従者であったウィリアムは、卿の代わりに大会に出て賞金を得たことに気を良くし、貴族と偽って次々と大会に出場し一躍その名を上げる。一番の腕の評判を取るアダマー伯爵はそんなウィリアムにライバル意識を燃やす。ウィリアムの方でも打倒アダマーに燃える。そんな中偶然出会った令嬢ジョスリンとウィリアムは惹かれあうが、アダマー伯爵もまたジョスリンにアタックしていたのだった・・・。


冒頭、馬上槍試合などの行われる会場で、観客が出てくる騎士を待ち望みながら目の前の木の桟みたいなところを叩き足を踏みならします。やがてそれが大音響で会場に鳴り響いていくのです。それがクイーンの「ウィーウィルロックユー」に昇華していくドキドキ感。クイーンのロックと中世劇の組み合わせと聞いた時、「そんなバカな」と実は思いましたが、このオープニングを見る限り妙にしっくりいっているのです。最初から嬉しい裏切りなのでした。

エクスター卿に付き従って旅を続けるウィリアムたちはある日突然卿の死にあいます。それは従者である彼らにとっても生活の道を閉ざされることにつながります。最初はともかくもお金のためにウィリアムはエクスター卿に化けて試合に出ることにします。元々才能豊かだったウィリアムは、練習を積んでいくうちに自らの心にわき上がる試合への情熱に気づいていくのです。
このウィリアムを好演しているのがヒース・レジャー。相変わらず爽やかで、ちょっと能天気で、可愛い若者ぶりを発揮しているのでした。自分の腕と仲間の助けでウィリアムはのし上がっていきますが、アメリカンドリームとは180度違う厳しい身分社会の世の中のこと。どんなに腕を上げたところで、ウィリアムは身分を偽っている身に過ぎない厳しさ、辛さはクライマックスで効いてきます。

脇を固める仲間たちがまたそれぞれ良い味を出しています。自称吟遊詩人で試合前の口上ならお手の物のチョーサー。何故か出会った時が裸というショッキングな登場(爆)。今やすっかりメジャーになった感のあるポール・ベタニーが、口から先に生まれたようなチョーサーを好演しています。テントの布でシコシコとウィリアムのパーティ用の服を縫ってくれるワットも温かみ満点。この時代に女性の身で鍛冶屋で身を立てているケイトも凄い。ちなみに私は、ジョスリン姫よりケイトの方が美人だと思うのでしょうが、いかがでしょう?

中世を舞台にしているとはいうものの、着ている服は明らかに現代との融合で一見かなり妙なファッションだし、ダンスも今時との融合だし、映画のバックに流れるのはロックだし、清く正しい時代ものとは正直かけ離れた映画ではあります。でも、何だかこの映画の中なら全て許してしまうのです。古き佳きハリウッド映画とは違って、なかなか中世ムードを醸し出せる俳優のいない今、いっそ現代風中世劇で撮影してやれ!と開き直ったのがむしろ成功の要因だと思います。また、馬上槍試合という今までほとんど扱われることのなかった分野にスポットを当てたのも大正解。悪役はステレオタイプだけれど、仲間内の友情や父親とのエピソードは思い切りホロリと来て、押さえるところは押さえているのでした。

中世ものが好きな方は勿論、全然興味のない方でもこれならさほど抵抗なく見られる、いわば熱血スポコン中世騎士道物語です。


☆エンディングに流れる「♪ウィーアーザチャンピオンズ〜」。ボーカルがフレディ・マーキュリーだと良かったんだけれど・・・。







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