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錨を上げて



ANCHORS AWEIGH


1945年アメリカ映画 MGM
カラー 139分

監督 ジョージ・シドニー
出演 フランク・シナトラ キャサリン・グレイソン
ジーン・ケリー ホセ・イタルビ
ディーン・ストックウェル


海軍の水兵のジョーとクラレンスは、4日間の休暇をもらい花の都ハリウッドへ乗り込む。ジョーはローラというガールフレンドに会うことが目的だったが、クラレンスは恋愛とは無縁。ジョーにくっついて恋愛指南を頼む。そんな折に海軍志願の迷子の少年ドナルドに出会い、彼を家に送り届けることになる。ドナルドの面倒を見ている叔母のスーザンを見た途端に、クラレンスはスーザンに一目惚れ。ジョーに橋渡し役を頼むことになる。エキストラ女優をしているスーザンは、素晴らしい歌声の持ち主で成功を夢見ている。行きがかり上、名指揮者イタルビと知り合いでスーザンを紹介すると口走ったことから、ジョーとクラレンスは何とかイタルビに会おうと奔走することになる・・・。


MGMお得意の水兵さんミュージカルです。「踊る大紐育」としばしば混同しがちになってしまいます。この映画が作られたのは1945年。まさに戦時中か終戦か、というときですよね。そんな時に海軍を舞台にこんな脳天気なミュージカルを作ってしまうのはやはりアメリカの余裕でしょうか。

そんなことはさておき、オープンニングからあの有名な「錨を上げて」を大々的に聞かせてくれます。海軍の楽隊が人文字で錨を作ったり、「NAVY」と描いたり。実に威勢の良い曲で、つい足がリズムを踏んでしまいます。

お話の方は、休暇をもらった水兵さん二人の恋のアバンチュールです。まあ良くある設定ではありますが、この水兵二人がフランク・シナトラとジーン・ケリーですから、そこはもう歌と踊りがいっぱい盛り込まれていて文句なく楽しめます。

ジーン・ケリーが「トムとジェリー」のジェリーと踊るシーンは有名ですね。この時代にアニメとの合成。もの凄く画期的なことだったでしょう。相変わらずジーン・ケリーは踊りで魅せます。トムとジェリーが住んでいるお城があまりに見事な(!)書き割りまるわかりなのは、ご愛敬なのか?

そして、フランク・シナトラはその喉を聞かせます。恋の歌から子守歌まで。この頃のシナトラは人気絶頂期でしょうか?女性たちのアイドルとしてカリスマ的な人気を誇っていたんですよね。50年代に入って、人気に陰りがみえて起死回生のためにゲットした「地上より永遠に」でアカデミー助演賞をもらって返り咲いた不死鳥のような人です。後年のふっくらとしたシナトラしか知らない方が見たら、ちょっとびっくりしそうな甘くてスリムなルックスでした。

スーザン役のキャサリン・グレイソンは、とにかくMGMで一、二を争う見事な歌声の持ち主です。その良く透るソプラノの美しさは、この映画ではちょっと別世界。もっと自慢の喉を披露するシーンがあっても良かったのですが、それをするとこの映画とはあまりにミスマッチかな、とも思えます。彼女の歌声を堪能するには何と言っても「ショウ・ボート」でしょう。ケープにひまわりの柄が付いたドレスは可愛いというべきかどうかちょっと悩みました。

それから、子役のディーン・ストックウェル。今や、マフィアの親玉役などを演じて貫禄を見せている彼が、まあ可愛かったこと!彼は40年代の名子役で、「紳士協定」「緑の髪の少年」など名作に次から次へと出演しています。今の貫録たっぷりの彼しか知らない方が見たら、絶句するしかないですね。

ストーリーも肩が凝らないし、素直に楽しめる映画です。これを見ると、ついでに「踊る大紐育」も見たくなるんですよね。


☆「踊る大聖林」という邦題にするのも面白かったかも。






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