おすすめ映画
























































赤ちゃん教育



BRINGING UP BABY


1938年アメリカ映画
白黒  102分

監督 ハワード・ホークス
出演 キャサリン・ヘプバーン ケーリー・グラント
チャーリー・ラグルス メイ・ロブソン
バリー・フィッツジェラルド


博物館主のデビッドは学者気質の堅物。彼がたまたま知り合ったお金持ちの御令嬢のスーザンは、デビッドとは正反対のじゃじゃ馬娘。2人は、スーザンの伯母の元にベイビーという名の豹を届けることになるが、その豹が逃げ出したために大騒ぎが起きる・・・。


この映画で「赤ちゃん」と呼ばれているのは豹の赤ちゃんです。それだけでも、どこかぶっ飛んでいるのに、この映画は終始ハイテンションで貫き通される元祖スクリューボールコメディと呼ばれるものです。監督はハワード・ホークス。西部劇やハードボイルドで有名なホークスですが、実はこの手のコメディにも達者な演出を誇るところが驚きです。

キャサリン・ヘプバーンは、お金持ちの御令嬢で少々わがままで、とにかく押しが強い。こうと思ったら周囲が何と言おうと通してしまう我の強さを持ち合わせています。とは言っても、決して嫌なタイプの女性ではないところがキャサリンのキャラクターの良さですね。こんな人が近くにいたら困るけれど、映画で見る限りキャサリンなら許してしまう(笑)。そんなキャサリンに徹底的に振り回されるのが学者気質でどこか世間離れしていて頼りないケーリー・グラント。キャサリンが突っ込みなら、グラントは徹底して受けの演技をしていて、この2人の絶妙なアンサンブルがよろしいです。

とにかくセリフが多い。そして早い早い。キャサリン・ヘプバーンが矢継ぎ早にまくし立て続けます。セリフを聞くなり、字幕を読むなりするのが大変。でも、このセリフの応酬がこの手のコメディの命なんですね。脇役の伯母さんや狩猟好きの退役軍人や、警察署長までみんな一人一人場をわきまえた演技合戦が見事なのです。そして、肝心の豹、これがくせ者。一頭だけかと思ったら、サーカスから逃げ出した(と言うのは本当は正確ではないけれど、それは映画を見てのお楽しみ)もう一頭も加わって、もう何が何だかわからない大騒ぎが展開されます。

キャサリンが何故か良くこけるのもおかしいですね。しかし、これは実際は怪我覚悟の迫真の演技でしょう。そんなドジさに似合わぬ素敵なドレスを披露してくれるところも見物。キャサリンの体にピッタリ合った品の良いスレンダーなドレスの数々は、さすがにスマートで知的な彼女ならではの着こなしです。困った人だけれど、憎めないキャサリン。ちょっと天然のかかったハンサムグラントのこれは代表的なコメディ作品として、今後も長く語り継がれるに違いありません。






(C) 2012 Paonyan?. All rights reserved