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炎のランナー



Chariots of Fire

1981年イギリス映画   カラー  124分

監督 ヒュー・ハドソン
出演 ベン・クロス イアン・チャールソン
ナイジェル・ヘイバース イアン・ホルム
ナイジェル・ダベンポート ジョン・ギールグッド

1924年のパリオリンピックで陸上競技に出場した選手達の青春と恋と信仰を描く素晴らしい感動作です。ケンブリッジの学生ハロルドはユダヤ人であることから偏見の目にさらされることが多く、その差別を打破したい思いもあって走ることに情熱を注ぎます。信仰に生きるエリックは神への愛とそれを広めるために走ります。同志でありながらライバルでもある二人は仲間達と共にオリンピック本番を迎えます。

 海辺を走る選手達の姿(日本の青春ドラマの典型?)とそこにかぶさるあの音楽。ヴァンゲリスのあのテーマはご存じの方も多いと思いますが、全く素晴らしいです。映画史上に残る名曲であることは疑いの余地がありません。空気抵抗など全く考えていないクラシックなユニフォームも妙に懐かしい。

 選手達がまた真面目で、好感が持てます。特にエリックの真面目さは際だっています。でも、他の陸上選手達も脇で光っています。何と言っても一番光っていたのはアンディ役ナイジェル・ヘイバースです(おお!天の邪鬼の登場)。ハングリー精神など微塵もない貴族のご子息で、育ちも良いけれど人柄も良い。優秀な選手だけれど、絶対に勝つという気迫は薄くて競技を文字通り楽しんでいるのがありありとわかります。豪邸の広大なお庭にハードルを並べて、その上にグラスを置いて、執事さんに「シャンパンをこぼさないようにハードルを跳んでみせるから見てて」、という場面ではお茶目で可愛くてとてもおしゃれで粋。そんな彼だから、オリンピックまで行っておきながら・・・ここはネタバレになるので話せないんですが、ホントに欲のない方なんです。この役でナイジェル・ヘイバース株は例によって私の中では急上昇。その後も「インドへの道」や特にスピルバーグの「太陽の帝国」では少年を善の道に導くお医者さん役がとてもとても好演で印象に残ります。彼と対極を演じていたのがジョン・マルコビッチだっただけに、彼に喰われてもおかしくないのにとても好演でした。

 オリンピックのライバルであるアメリカ代表にはデニス・クリストファーやブラッド・デイビスも出ていて、ちょっと懐かしいです。

 あとイアン・ホルム。ハロルドのコーチなんですが、それはそれは味のある演技でした。本番の競技を見に行けなくて、宿舎で待っていて結果をある方法で知るときのその表情には思わずホロリとさせられます。

 81年の「黄昏」「レッズ」など強力なライバルを倒してアカデミー作品賞を受賞した作品です。テーマ音楽の素晴らしさと共に、クラシックな青春が心に残ります。ちょっと変わったスポ根かな。

☆「安息日だから走れません」って、陸上競技を見るたびに頭の中で響くんですけれど。






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