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愛情物語



THE EDDY DUCHIN STORY


1956年アメリカ映画 コロンビア
カラー  123分

監督 ジョージ・シドニー
出演 タイロン・パワー キム・ノヴァク
ヴィクトリア・ショウ
ジェームズ・ホイットモア


故郷で薬科大学を出たエディ・デューチンは、ピアニストへの夢が捨てられず、故郷のコンサートで言葉を交わした音楽家ライスマンを頼ってニューヨークへ出てくる。しかし、ライスマンはエディのことを覚えていなくて、彼の夢ははかなく消えようとしていた。しかし、その場に居合わせたお金持ちの娘マージョリーがエディの腕を買い、彼を引き立ててくれたおかげでエディはチャンスを掴む。エディとマージョリーとの間には情熱的な愛情が生まれ、2人は結婚する。愛する妻との幸せな日々。しかし、その幸せも長くは続かなかった・・・。


実在の名ピアニスト、エディ・デューチンの伝記映画です。田舎から出てきた青年が、幸運に恵まれて掴んだチャンスをものにして名ピアニストと言われるまでに名を挙げていきます。それを支えたのは、彼の才能を信じる美しきマージョリー。当然のように2人の間には愛が生まれ、結婚します。名声を得、愛する人と結ばれ、エディの人生は順風満帆で幸せいっぱいでした。しかし、幸せは必ずしもいつまでも続くものではなかったのです。突然襲った不幸に打ちのめされ、演奏旅行を続け、遂には従軍までしてしまうエディは、現実の生活に完全に背を向けていました。しかし、そんな彼に転機が訪れるのです。

タイトル通り、この映画はいくつもの愛の姿を描いています。エディとマージョリーとの恋人同士の情熱的な愛。人生の伴侶としての落ち着いた確実な愛。そして、親子の愛。新しい出逢いと愛。エディはマージョリー以外には、自分の愛をうまく表せない案外不器用な人でもあります。いえ、マージョリーへの愛があまりに深かったがために、それ以外の愛を全て否定してしまうのです。その苦悩、葛藤がヒシヒシと描かれています。

エディを演じるのはタイロン・パワー。往年の2枚目俳優です。ちょっと濃いイメージがあって私は少し引いてしまうところもあるのですが、ピアニストを熱演しています。そのエディの愛するマージョリーには、キム・ノヴァク。彼女の最も美しい頃の一本で、着こなす上流階級のドレスも素敵で、苦労知らずのお嬢様が出会った真実の恋を時に可愛く時に大人の魅力で魅せます。

有名なテーマ曲「トゥ・ラブ・アゲイン」が映画のあちらこちらでとても効果的に使われています。これは元はショパンの「ノクターン」。本当に美しい曲で、この曲を聴くだけでもこの映画を見る価値があるというものなのです。ピアノが人の心を結び、エディの気持ちを和らげていく演出も見所です。戦地で出会った壊れかかったピアノをエディがつま弾くうちに人々が集まってきて聞き惚れるシーンがあります。アメリカ人も現地の人も。音楽は、言葉の違いを超えて人々の気持ちにストレートに訴える素晴らしいものなのですね。

ラストの連弾シーンは大変感動的です。余計な演出や台詞がなくても、十分にストーリーは説明出来て、余韻の残る感動を巻き起こすことが出来るというお手本のようなシーンでした。


☆エディの息子役を演じている子は、「王様と私」のアンナの息子役を演じていた子ですね。






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