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卒業



THE GRADUATE

1967年アメリカ映画 UA
カラー 107分

監督 マイク・ニコルズ
出演 アン・バンクロフト ダスティン・ホフマン
   キャサリン・ロス ウィリアム・ダニエルズ
      マーレー・ハミルトン エリザベス・ウィルソン


大学を優秀な成績で卒業したベンジャミンは、実家に帰ってきたが自分の将来を決めかねていた。自分の祝賀パーティに来ていた父の仕事上のパートナー、ロビンソン氏の妻ミセス・ロビンソンはそんなベンジャミンを誘惑する。ぎこちなくもミセス・ロビンソンの大人の魅力に惹かれベンジャミンは逢瀬を重ねる。しかし、ロビンソン夫妻の娘エレーンが大学から帰省し、ベンジャミンは親の薦めでエレーンをデートに誘うことになる。気が進まないベンジャミンは、エレーンを良からぬ場所に連れていくがそこでエレーンの涙を見てしまった彼は、純真な彼女に惹かれてしまう。ベンジャミンとエレーンのつきあいを良く思わないミセス・ロビンソンは、二人を別れさせようとするが・・・。


60年代後半、アメリカンニューシネマという新しいジャンルの映画が台頭しましたが、その代表的な一本です。大学を優秀な成績で卒業したものの就職するわけでもなくブラブラしてしまうベンジャミン。そんな彼を誘惑し始める有閑マダムのミセス・ロビンソン。貫禄たっぷりのアン・バンクロフトが演じるミセス・ロビンソンは良くも悪くもこの映画の最大の要と言えるかもしれません。ホテルでの逢い引き一つとっても、慣れないので当たり前とはいえおろおろしっぱなしのベンジャミンを巧くリードしていく世慣れた仕草。まだ若かったダスティン・ホフマンはミセス・ロビンソンの手のひらの上で踊る人形のようでした。そんなベンジャミンが出逢ったエレーンは、ミセス・ロビンソンの娘とは言え、性格は正反対の純情可憐な娘。親の言いつけでデートに誘っただけだったのに、ベンジャミンはエレーンに夢中になってしまいます。しかし、二人の間をふさぐミセス・ロビンソンの影・・・。

大学に帰ったエレーンを追いかけるベンジャミンは、もうほとんどストーカー。アパートまで借りてエレーンの周りをウロウロウロウロします。どこにそんなお金があるんだ?と気になるところですが、まあ親がお金持ちですからねえ。そのベンジャミンの親も真面目なようでどこかふざけていて面白い。一家でプールで泳いでいるうちに色々話したり、突然のベンジャミンの結婚宣言に喜び、次にまだプロポーズもしていないことに唖然とするその時に、ポップアップのトースターからトーストが飛び出す様など思わず笑ってしまいます。深刻な恋愛劇のようでどこかこの映画、ふざけた笑いが散りばめられているのですね。

あとはあまりに有名なラストシーンに向かって一直線。この映画の成功の理由は、ハンサムにはほど遠いダスティン・ホフマンとキャサリン・ロスのフレッシュな魅力とアン・バンクロフトのマダムの貫禄。そして、何と言ってもサイモン&ガーファンクルによる音楽を忘れてはいけないでしょう。この映画を仮に知らなくても「サウンド・オブ・サイレンス」を知らない人は少ないだろうし、「スカボロー・フェア」は音楽の教科書にも載っていたし、軽快な「ミセス・ロビンソン」。ミュージカルではないのに、映画と音楽が離れがたく結びついた代表的な例でしょう。いや、とにかく美しいハーモニー。先日サイモン&ガーファンクルの再結成が伝えられましたが、昔のような歌声を聞かせてくれるでしょうか。余談ですが、無名時代のリチャード・ドレイファスやベン・マーフィがちらりと大学生役で姿を見せるのも嬉しい驚きです。

☆ラストのベンジャミンのつなぎのような服がどうも気になる・・・。もっと気になるのは、果たしてベンはお金を持っているのか?勤めたこともない彼、将来はどうする!?






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