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或る夜の出来事



IT HAPPENED ONE NIGHT


1934年アメリカ映画 コロンビア
白黒 105分


監督 フランク・キャプラ
出演 クラーク・ゲーブル クローデット・コルベール
ウォルター・コノリー


大金持ちの娘エリーは父の気に染まない結婚をしようとして、父のヨットに軟禁される。そこから抜け出したエリーは、恋人のいるニューヨーク行きのバスに乗る。そこに乗り合わせたのがクビになった新聞記者のピーター。行方不明のエリーが彼女と知り、ピーターはエリーと行動を共にすることになる・・・。


この年のアカデミー賞で作品、監督、主演男優、主演女優、脚本の主要5部門を総なめにした恋愛コメディの古典的映画です。

わがままなお金持ちのお嬢様の逃避行と特ダネ目当てでそれに随行する新聞記者。二人とも一癖も二癖もあるから、道中すんなり行くわけもなく喧嘩ばかり。でも、お金を盗られたエリーはピーターにくっついているしかないし、ピーターも特ダネを逃がせない。どうしようもない妥協の元に二人の珍道中が繰り広げられます。

クラーク・ゲーブルはご存じハリウッドのキングと呼ばれた人です。MGMの大スターでしたが、何故かMGMではそれまであまり良い作品に巡り会えずに、コロンビアに貸し出されて作ったのがこの映画でした。パリッとしたキングというよりは、くたびれきったサラリーマン。それでも、やっぱり貫禄があって格好良かったですね。この演技でアカデミー主演男優賞を受賞したのは、ゲーブルにとっては喜ばしい出来事でしたが、MGMにとっては皮肉だったでしょう。

絵に描いたようなわがままで世間知らずなお嬢様役のクローデット・コルベール。都会派のコメディなどでセンスを発揮した人です。彼女もアカデミー主演女優賞受賞。受賞出来るとは思わずに、授賞式を欠席してニューヨークに向かおうとしていたところに受賞のニュースが入り、アカデミー側が列車を止めさせて彼女を迎えにタクシーを差し向け急遽オスカーをもらいに出向いたエピソードは語りぐさになっています。

この映画の成功の要因はこの主役二人の洒落たセンスとウィットあふれる会話と演技にあったと言えるでしょう。

有名なクローデット・コルベールがヒッチハイクの車を拾うシーン。ゲーブルがどんなに手を挙げても一台も止まってくれないのに、コルベールが道に立ってスカートを膝上までまくり上げるとすぐに車がストップ。映画史上に残るおしゃれで粋で、ちょっぴり笑えるシーンですね。箱入りのお嬢様のはずのコルベールなのに、女性の武器の使い方に長けているところが面白いです。

二人で同じ部屋に泊まったモーテルで、二人のベッドの間にかけられた毛布。即ち「ジェリコの壁」。ここも面白いです。この「ジェリコの壁」、最後まで大事な役割を果たすのでご注目。

コルベールやゲーブルの一挙手一投足に目が離せない小粋なラブロマンスです。監督がフランク・キャプラなだけに、人情味もたっぷり。ユーモアもたっぷり。古き良き時代の香りがいっぱいのところが私はとても好きです。


☆ゲーブルのパジャマを借りているコルベールが可愛かった。この人、確か「青髭八人目の妻」でもゲーリー・クーパーとデパートで男物のパジャマの取り合いをしてました。ハリウッドのキング二人相手にパジャマ騒動を持ちかけたのはこの人ぐらいね。






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