おすすめ映画


































































ジャッカルの日



THE DAY OF THE JACKAL

1973年イギリス・フランス合作 カラー 143分

監督 フレッド・ジンネマン

出演 エドワード・フォックス ミシェル・ロンスダール
デルフィーヌ・セイリグ アラン・バデル エリック・ポーター
シリル・キューザック デレク・ジャコビ


アルジェリアの独立を認めたフランスのド・ゴール大統領を暗殺すべく、軍部出身の極右で作る地下組織OASは暗殺者を雇う。彼のコード名はジャッカル。ジャッカルは、早速特注の銃を作らせ偽の身分証明証を作り、独自の作戦を開始する。一方暗殺計画があることを知ったフランス政府は、警察一の敏腕刑事に全権を委任する。彼は早速各国の警察と連絡網を張り、ジャッカルの足取りを追う。しかし、ジャッカルもプロ中のプロ。名前を変え、国籍を変え、変装し、巧みに警察の網をくぐり抜けて、暗殺を敢行すべくパリに近づいていく。


面白いです。今時の映画みたいな、爆発やカーチェイスや撃ち合いなどの派手なシーンはほとんど皆無です。ひたすら暗殺に邁進するジャッカルのプロ根性と、それを阻止しようと懸命な警察側の地道な捜査をドキュメンタリータッチで見せています。そのあっさりした味付けが実に面白い。これがサスペンスの醍醐味なんですね。

全編寡黙に、でも不気味なくらい落ち着いて作戦遂行のために邁進するジャッカルはこれはこれであっぱれのプロ根性というべきでしょうか。顔色一つ変えずに人を殺す冷酷な殺し屋。いつもおしゃれに決めていて、ちょっと小憎らしいくらい。どこの国の人間にもなり、またどんな変装でもしてしまう徹底したプロの技術。エドワード・フォックスのまさしく一世一代の当たり役です。年上の女性に甘える様はちょっと可愛いけれど、これもやっぱり彼女を利用するためのみだったのでしょうか。それともちょっとは心を休める意味合いがあったのか。これは知りたいところです。

対するフランス警察側の捜査責任者を演じるミシェル・ロンスダール。ジャッカルがいつもパリッと決めているのに対して、こちらは大柄でヌーボーとした感じのある冴えないおじさんです。呼び出しがあったときは鶏の世話をしていたり、奥さんに何度起こされても起きなかったり。でも一旦捜査に向かえば、敏腕刑事ぶりを発揮。俄然頼もしくなるところが面白い。情報漏れを疑って盗聴装置を仕掛けた時の話など、彼の何気ない受け答えには思わず絶句。

ジャッカルも対する刑事側も、どちらも焦っているはずなのに、あくまでクールでいつも頭をフル回転させているのですね。簡単なようで難しい。これが二人のプロたる所以でしょう。

手を変え品を変え、化かし化かされ合い、最後のド・ゴール襲撃まで一気に持っていく手腕。いつどんな方法で襲撃されるのかその時まで明かされない襲撃方法には、恐らくアッと思うでしょう。

監督のフレッド・ジンネマンは「真昼の決闘」でも映画の中と現実の経過時間を合わせる方法でサスペンスタッチを盛り上げていましたが、こういう時間との闘いを描かせるとピカ一です。

数年前に「ジャッカル」というリメイク映画も作られました。正直、こちらの方は・・・。俄然このオリジナルをお勧めします。2時間23分という時間が全く長く感じられない徹底したプロ意識にあふれた映画です。


☆最初に暗殺を依頼されたときにジャッカルは、その後の逃げ道確保が最重要と言います。そうなんだよね。犯罪は逃げ道あってのことのはず。それなのに今、この世の中・・・。






(C) 2012 Paonyan?. All rights reserved