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王様と私



The King and I
1956年アメリカ映画  20世紀フォックス
カラー  133分

監督 ウォルター・ラング
出演 デボラ・カー ユル・ブリンナー リタ・モレノ


リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世の名コンビのブロードウェイ大ヒットミュージカルの映画化です。ブロードウェイで王様役を演じてスターダムに登ったユル・ブリンナーが映画でも王様を演じて、彼の永遠の当たり役を映画史にも記しました。

 19世紀半ば、シャム王の子供たちの家庭教師としてイギリスからやってきたアンナは専制的な王様と何かと対立します。しかし、国を近代国家の仲間入りさせたい王様の情熱には協力し、頑固な王様を少しずつ変えていくのでした。支配者意識、階級問題、女性差別など様々な問題を繰り込んだ内容は、ミュージカルとは明るく楽しいものだった当時としては、異色だったのではないでしょうか。それでいて堅苦しくない。笑いをいっぱい散りばめています。

 「ゲッティング・トゥ・ノウ・ユー」や「ハロー・ヤングラヴァー」などの名曲はいずれも素晴らしく、王様が国を治めていく悩みを独白の形で歌う「パズルメント」も迫力があり、かつ楽しいです。でもやっぱり何と言っても「王様と私」と言えばこれ。「シャル・ウィ・ダンス」でしょう。初めて舞踏会に出た女性のとまどいから入り、やがて蝶のようにダンスに興じる様を歌い上げるこの歌は大変ドラマチックです。画面いっぱいにくるくる回り踊るユル・ブリンナーとデボラ・カーの姿がそこに重なり、思わず足がリズムを取ってしまいます。この歌は王様にダンスを教える歌でもあるのですよね。王様がアンナの腰に手を回してリードしようとしたとき、二人の間の王様と家庭教師の垣根が一瞬なくなり見つめ合う様子が胸を打ちます。

 ユル・ブリンナーは文句なしの王様ぶりで、頑固でちょっと粗野でアンナが時々顔をしかめるような無頼漢を大好演です。デボラ・カーもクラシックな衣装がよく似合って美しい。王様と対等に渡り合うシーンも彼女の品の良さと知性があればこそです。ちなみにデボラ・カーの歌は吹き替えで、歌っているのは影のミュージカル界の女王、マーニー・ニクソンです。「サウンド・オブ・ミュージック」の中のマリアのいた修道院のシスターの1人で、「マリア」の歌の時ひときわ歌声が美しかった人と言えばわかるでしょうか。

「シャル・ウィ・ダンス」は後半、ラストシーン近くになってからの登場です。ミュージカル史上に残るこの名シーンは是非御覧下さい。きっとあなたも踊り出したくなります。☆王様は気楽な商売とは言えませぬ。内政は勿論、この時代独立国家を保つためには卓越した外交手腕も持たねばなりません。他にも考えなければならないことはあるし。たくさんのお后、子供たち、奴隷達、リンカーンに贈る象のこと・・・エトセトラ、エトセトラ。






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