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ジェヴォーダンの獣



LE PACTE DES LOUPS


2001年フランス映画
カラー  138分

監督 クリストフ・ガンズ
出演 サミュエル・ル・ビアン ヴァンサン・カッセル
モニカ・ベルッチ エミリー・ドゥケンヌ
ジェレミー・レニエ マーク・ダカスコス
ジャック・ペラン


18世紀、フランスのジェヴォーダン地方では、女性と子供ばかり100人以上が正体不明の獣に惨殺されるという惨劇が起きていた。この噂はルイ15世統治下のパリにまで届いていた。国王の命を受けて、科学者のフロンサックが真相解明のためにこの地方に派遣される。土地の領主一家の協力を受けて、フロンサックは盟友マニと共に調査を始める・・・。


古き佳き典雅なフランス映画を見慣れた私には何ともびっくりな内容でした。しかし、それなりには面白かったのも確かです。絶対王政下のフランスの一地方、ジェヴォーダンで起きた恐怖の事件。女性や子供ばかりが謎の野獣に狙われ惨殺されるその事件は、当然ながら世の中を震え上がらせます。その解明の為に派遣されたのが、若き学者フロンサックでした。このフロンサック、自然学者であり、医者でもあり、何でも出来る優れ者。同行しているマニは、フロンサックが新大陸で知り合い、心の友となったネイティブアメリカン。そのマニは、何故かカンフーが強い・・・という、?な部分は多々ありますが、とりあえずアクションとしても楽しめるということで・・・。


思えばフランス映画も随分ハリウッドの感覚を身につけたものです。この映画も、ハリウッド映画として上映されてもどこも不思議ではありませんね。ただ、やはり貴族たちの優雅な生活や物腰などの細かい面にどこかフランス的な要素が残っているところも事実。これを何と表現して良いか悩むところなのですが、フロンサックを迎えるジェヴォーダンの上流社会の描き方と言えばご覧になった方は何となくわかって頂けないでしょうか。

私は素直にフロンサックが気に入りました。格別ハンサムというわけではありませんが、しかしこのサミュエル・ル・ビアンはなかなかです。ブロンドの長髪がよろし。ポニーテールにまとめているところもよろしいし、髪を下ろしてざんばらにワイルドになったところもまたなかなかであります。アクション俳優ばりにこの映画では活躍しているサミュエル・ル・ビアンですが、実はシェークスピア俳優という実力派で、何気に貴族的な物腰が板についているのも納得出来るのでした。

彼の盟友マニ役のマーク・ダカスコスの黙して語らぬ精悍さも良いですね。それでいて、とにかく強い。何故にネイティブアメリカンの彼が身につけているのがカンフーなのかは深く追求しないことがポイントです。トマホーク技には素直に納得しましょう。

そして、若き領主の跡取りトマを演じているジェレミー・レニエ君。若い故に頼りはないですが、何とも美青年であります。思わずハッとするなかなかのルックス。ハンサムだと思ったら、それもその筈、彼は少年時代に「イゴールの約束」で主役を張っていたあの少年だったのでした。内容も素晴らしかった「イゴールの約束」、主役少年のハンサムさは今も記憶に焼き付いております。見事に成長して、と感慨しきり。ただ、貫録十分のフロンサックと並ぶとどうにも頼りないのは仕方ありませんね。

そして、ジェヴォーダンの貴族の息子を演じる今や売れっ子のヴァンサン・カッセル。相変わらずちょっとエキセントリックな魅力を発揮しています。美人の奥様モニカ・ベルッチと再び共演。

このようにこの映画は、旬のなかなかハンサムな男性を堪能できる映画であります。おまけにすっかりお年を召しましたが、かつての美青年ジャック・ペランの姿もチラリと出てくるのです。

フロンサックの相手役のエミリー・デュケンヌがちょっと魅力薄に見えたのが残念といえば残念でした。いかにも田舎娘的な印象という意味ではぴったり来ることは確かなんですが、似合わないカップルですな。

この「ジェヴォーダンの獣伝説」というのは、フランスでは知らない人はいないと言われる実話です。でも、真相はわからないままだそうで、あくまで後半部分はフィクションであることをお間違いのなきよう。ゴシック調のミステリー。相手がありそうでなさそうな、野獣というところが妙に興味を誘って見てしまいましたが、面白かったです。

とにかく深く突っ込まないで、楽しく見ましょう。


☆ジェヴォーダンの風景が思いのほか綺麗でした。それに衣装も素敵。結構どろどろしいミステリーなのに、どこか味付けが華麗なところがフランス映画かな。しかし、マニという名前がひっかかりっぱなしだった私・・・。マニュと混同してしまって。






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