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メンフィス・ベル



Memphis Belle

1990年アメリカ映画   カラー  107分

監督 マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演 マシュー・モディン エリック・ストルツ テイト・ドノバン 
   D.B.スウィニー ビリー・ゼーン ハリー・コニック・Jr


第2次大戦中のイギリスの米軍基地、白昼ナチスに対して攻撃を仕掛ける米軍機は25回出撃を果たすと故郷に帰れることになっていた。デニスを機長とするメンフィス・ベル機は最後の任務を迎えようとしていた。乗り組むのは10人の若いクルーたち。デニスの他に副機長のルーク、士官のフィルとヴァル、通信士で詩が好きなダニー・・・。友軍機が撃墜されていく中、メンフィス・ベルは基地に無事に戻れるのか?

 製作はデビッド・パットナム。「炎のランナー」や「キリング・フィールド」を製作した人で、私が尊敬する映画人の1人です。

 10人乗りの爆撃機、機内には意外なポジションもあり、今まで何気なく見ていた戦争映画における戦闘機や爆撃機の内部をクローズアップした珍しい作品だと思います。

 10人のクルーの頭には既に懐かしい故郷の姿が浮かんでいます。帰ったらどうしようか、と話合う彼らの前に立ちはだかった最後の任務。この一回をやり過ごせば帰れる・・・。でも機長のデニスはあくまで完全に任務を遂行します。見ていて、「石頭!」と叫びたくなるくらいですが、彼の論理はもっともで彼の軍人精神を如実に物語っています。演じるマシュー・モディンはこの一本で私のお気に入りにランキング。もう1人ランキングしたのはダニー役のエリック・ストルツで、役柄的にも作品中一番の儲け役でしょう。

 戦争は辛く悲しいものとわかってはいますが、戦っている彼らにも青春があって、また思いっきりそれぞれの私生活も引きずっていて、それがまた彼らの姿をリアルに見せてくれます。負傷した仲間をどうするかのやりとりは、ひどく現実的で、こういう考え方もあるのだと目からうろこが落ちる思いでした。日本軍だったら誰1人考えつかないんじゃないかな。

 戦争映画ながら音楽の使い方が大変効果的な映画でもあります。出撃前の「アメージング・グレイス」、そしてクライマックスに流れる「ダニー・ボーイ」!最初は静かにバックで流れていたこの曲が、シーンに合わせてどんどん盛り上がっていって最後にジャーンと響く頃になるともう涙が止まりません。「生きるんだ。何が何でも生きるんだ」という生命への賛歌があふれています。自分たちの命を大切にするだけでなく、彼らは少なくともドイツの非戦闘員の命をも尊んだことをラストでは救いに感じました。

 戦争映画は苦手という方でも、これは戦争における青春群像でもあり、またクルー達のルックスも結構良いので(笑)、毛嫌いせずに是非御覧下さい。必ずハンカチを用意して下さいね。

☆この映画で郷愁あふれた「ダニー・ボーイ」の曲が大好きになりました。この頃、カラオケで歌いまくったな。






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