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ナバロンの要塞



THE GUNS OF NAVARONE


1961年アメリカ映画  コロンビア
カラー 160分

監督 J・リー・トンプソン
出演 グレゴリー・ペック デヴィッド・ニーブン
アンソニー・クイン アンソニー・クエイル
スタンリー・ベイカー ジェームズ・ダーレン
イレーネ・パパス ジア・スカラ


第二次大戦中。ギリシャのナバロン島にナチスドイツが海に向けて設置した二門の大砲は、連合軍にとって大いなる脅威となっていた。この大砲を破壊するために、六人のプロフェッショナルたちが集められた。指揮官のフランクリン少佐のもと、登山家のマロリー大尉、爆発物の専門家のミラー伍長、ギリシャ軍の大佐だったアンドレアたちだった。彼らは嵐の中、島に上陸して現地の抵抗組織のメンバーと合流して、ナチスの要塞に近づいていく。連合軍の艦隊が島に近づくまでに爆破を完了させなければならない。刻々とタイムリミットは迫っていた・・・。


第二次大戦中に難攻不落と言われた要塞を舞台にしたアリステア・マクリーンの小説の映画化です。ナバロンの要塞から海に向けて据えられた二本の大砲は、その海を行く船を木っ端微塵にしてしまう破壊力を持ち連合軍にとっては悩みの種でした。しかし、連合軍の兵士数千名を助けに行くためにその海を通らなければなりません。そのために各国のプロフェッショナルたちが集められます。しかしながら、それは作戦を指示した上官さえも彼らは生きては戻れないだろうと予言するくらい、実行不可能な任務だったのでした。言うなれば、ミッション・インポッシブル・・・。

この映画は大ヒットしました。第二次大戦が終結してから10何年。戦争映画は数々作られてきましたが、スターを集めて大がかりにそれでいて1人1人の人物を細かく描く戦争映画版の「グランドホテル」形式とでも言うべき戦争映画はこの映画が走りだったのではないでしょうか。

1人1人がプロフェッショナルだけにそれぞれの自己主張も強くて、なかなかチームとしてはうまく行かないところも今では定石ですが、当時は新鮮だったのかも。指揮官フランクリン少佐はとにかく任務に忠実な軍人中の軍人。いかにも真面目そうなアンソニー・クエイルが演じています。そして、マロリー大尉にはグレゴリー・ペック。彼は世界でも有数の登山家という設定です。ナバロンの断崖絶壁を登るシーンで、何故登山家が必要だったのかに深く納得します。相変わらずハンサムです(笑)。どこか頼りないようで(それもその筈職業は実は教授)いて、皮肉屋で何かと茶々を入れて笑わせてもくれる爆破屋のミラーにはデヴィッド・ニーブンです。相変わらず飄々たる演技ぶり。熱い熱い熱血漢のアンドレアはアンソニー・クイン。まさしく適役です。それから、若い技術屋さんと殺し屋(!)さんにスタンリー・ベイカーと歌手でもあるジェームズ・ダーレンが扮します。さらに紅二点として現地の抵抗組織メンバーとして、名女優のイレーネ・パパスとジア・スカラも合流します。

このそれぞれが個性の固まりのような彼らが一つの目的のために命がけの行動を共にします。しかし、その行動には常に重いテーマを伴います。怪我をした仲間の待遇をめぐる争いはその最たるものでしょう。彼らにとって何より大切なのは任務です。では、任務を果たすためなら何をしても良いのか?上から与えられた任務なんかより、仲間の方が大切だ!というメンバーの訴えが胸に響きます。敵役ナチスにしても、軍の将校とSSとの対立などさりげなくもしっかりとドイツの抱える悩みを浮き彫りにして見せます。

沢山の兵士を救うための行動とはいえ、そのためにはこれまた両軍合わせて多大な犠牲を出すことになるという厳しい現実。これが戦争です。わかりきったことではありますが、何ともやりきれないものです。

嵐の中の船のシーン、岩場のシーンなどアクション映画としても楽しめる要素が山盛りです。それにとにかく人間が魅力的なんですね。そして、ディミトリ・ティオムキン作曲の「ナバロンの要塞」のテーマがスリルと興奮を盛り上げます。アカデミー作品賞にもノミネートされ、ゴールデングローブ賞では最優秀作品賞を受賞した文字通りの戦争映画の名作です。大スターたちの貫録と、練り上げられた脚本と男たちの世界を堪能して下さい。


☆アンソニー・クインがいつも赤いシャツを着ているんですが、そのわけがメイキングの中で明かされていて笑ってしまいました(DVDのコレクターズボックスに収録されている)。

も一つ☆70年代後半になってこの続編である「ナバロンの嵐」が作られました。これはこれで面白いんですが・・・。ロバート・ショウ、エドワード・フォックス、いつもなら演技達者として安心して見ていられる彼らでさえどうしても前作のメンバーのネームバリューと存在感から見ると小粒に見えてしまうのでした。まして、若い頃のハリソン・フォードは何をか言わんや・・・。






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