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麗しのサブリナ



SABRINA


1954年アメリカ映画 パラマウント
白黒 113分

監督 ビリー・ワイルダー
出演 ハンフリー・ボガート オードリー・ヘプバーン
ウィリアム・ホールデン
ウォルター・ハンプデン マーサ・ハイヤー
マルセル・ダリオ


ロングアイランドの高級住宅街に一際大きくそびえ立つ大豪邸のララビー家。ここには事業で大成功を収めたララビー夫妻と2人の息子、堅物の長男ライナスとプレーボーイの次男ディビッドがいた。この家の運転手の娘サブリナはハンサムなディビッドに夢中だったが、所詮身分違いのかなわぬ恋。父はそんなサブリナに新しい世界を見せようと、パリの料理学校に送り出す。2年後、パリですっかり洗練されて見違えるような美女となって故郷に帰ったサブリナを見たディビッドは一目で彼女に夢中になる。会社のために富豪の娘とディビッドを結婚させようと躍起なライナスは、ディビッドとサブリナを別れさせるために一計を図るが・・・。


「ローマの休日」でスターになったオードリーが再びキュートな魅力を見せるラブ・コメディです。おまけに彼女を巡るのはボギーにホールデン。何とも贅沢なキャストが揃ったものです。

まずはララビー家の説明から物語が始まりますが、その豪勢さに溜息。屋外テニスコートに屋内テニスコート。屋外プールに屋内プール。ボートがあってボート係もいて、木のお医者さんまでいる。持っている車は全部で8台。勿論ロールスロイスなどの高級車のオンパレードです。運転手のフェアチャイルドはこの車庫の上で娘のサブリナと住んでいます。車庫の上と言っても、これがなかなか瀟洒な部屋なんですよね。なかなか使用人の待遇も良い家と見ました。

サブリナは次男のディビッドに夢中。このディビッドは気は悪くないけれど遊び人で次から次へと美女に乗り換えます。美女を誘う常套手段は、パーティから抜け出してシャンパンを持って誰もいない屋内テニスコートでの逢い引き。サブリナはその場面を窓からそっと覗いて溜息、また溜息なのです。

かなう筈のない恋をあきらめるために父はサブリナをパリの料理学校へ勉強に行かせます。料理の腕ではあまりパッとしないサブリナですが、そこでやはり料理を勉強していた老男爵に目をかけてもらってパリですっかり磨きをかけてやがて故郷に凱旋するのです。故郷の鉄道の駅に降り立ったサブリナの何とも粋なことよ。通りかかったディビッドはすっかり彼女の虜となります。やっとディビッドの心を掴んだサブリナは舞い上がりますが、ディビッドを富豪の娘と結婚させようと躍起な堅物の兄ライナスはあの手この手で2人の逢瀬を邪魔します。そうこうしているうちに、彼もサブリナの素晴らしさに触れて・・・。

この映画の見どころの一つはやはりオードリーのファッションでしょう。デザイナーのエディス・ヘッドはこの映画で、アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞しました。オードリーのスマートさを映えさせる駅に降り立った時のピッタリしたドレス。パーティでのパーッと華が咲いたようなドレス。そして、すっかり有名になったサブリナパンツなど。どれもオードリーでなければちょっと着こなせないような服ばかりです。

堅物そのもののライナスを演じるボギーはもう50を過ぎて随分年の離れたコンビの感もありますが、パーティでも新しい発明品のプラスチックの板の上で一人トランポリンをしているところなど、とにかく表情を崩さず大まじめだけに余計笑いを誘います。対する弟のホールデンはハンサムだけが取り柄の絵に描いたような馬鹿息子。この正反対の兄弟のやりとりは何かと笑えます。どこか異次元で自分一人だけの世界に浸っているような父親も含めて(笑)。ララビー家の男連中は実は皆どこか変わり者ということでしょうか。

「月に手を伸ばしているようなもの」と父親に諭され続けるサブリナが見つけた真実の愛とは?おしゃれでちょっとほろ苦いラブストーリーです。たびたび流れる「ラ・ヴィアンローズ」がとても素敵。


☆料理学校で失敗ばかりしているサブリナ。スフレを焼くのにオーブンのスイッチを入れ忘れます。そこで男爵が恋に破れた人はオーブンのスイッチを入れ忘れると講釈します。でも、男爵、サブリナがスイッチを入れ忘れたのを見ていたんだから注意してあげれば良かったのに!






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