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掠奪された七人の花嫁



Seven Brides for Seven Brothers


1954年 アメリカ映画 MGM カラー105分

監督 スタンリー・ドーネン

出演 ジェーン・パウエル ハワード・キール
ジェフ・リチャーズ ラス・タンブリン


1800年代中頃、オレゴンの山奥に住む7人兄弟の長男アダムは、町に妻を捜しに行き、気が合ったミリーと結婚して連れ帰る。新しい結婚生活を夢見て山奥まで来たミリーは、汚れ邦題の住処とぼさぼさの髪に汚れた服の6人の弟たちを見て怒り爆発。翌日から、弟たちへのマナー教育に力を入れる。美しいミリーに素直に従うようになった弟たちは、山奥での男ばかりの生活に虚しさを感じ始める。それを知ったアダムは、弟たちを連れて町に乗り込み花嫁達を掠奪して連れ帰ってしまう・・・。

MGM黄金期を飾るミュージカルの傑作です。若い女性を拉致して結婚を迫る蛮行なんて・・・とお腹立ちの向きも、まあここは作り話と割り切って素直に楽しみましょう。

開拓時代の山奥を舞台にしたミュージカルという点がまず珍しいです。バックになるのは壮大な山々と自然、咲き乱れる花々・・・と言いたいところですが、この頃のMGMミュージカルはほとんどスタジオセットの世界。バックの山々も一目でそれとわかる書き割りなのがご愛敬です(笑)。でも、派手なCGのオンパレードである最近の映画を見慣れてしまうと、このちゃちなはずの書き割りが妙に味があって温かいものに感じられるから不思議です(笑)。勿論どこかの雄大な自然の中でロケを敢行してくれればもっと良かったんですけれどね。

ミュージカルの命と言える歌の数々も素晴らしいです。ジェーン・パウエルの素晴らしい透き通った歌声。ハワード・キールの良く通る男らしい歌声。兄弟達の掛け合いによる「淋しい山猫」など、斧で丸太割りしながら歌うおまけ付きで楽しめます。

しかし何と言ってもこの映画で一番素晴らしいのは群舞でしょう。町に出かけた時に、兄弟達が町の若者と女性を張り合って踊るシーンは圧巻。丸太の上でのステップあり、斧を飛び越える曲芸あり、丸太の上での綱引きならぬ手の引っ張り合いによる力比べあり。それらをすべてダンスの中に組み込んでいるのです。よく目立つ鮮やかな原色の色違いのシャツをまとった兄弟と、やはり可愛いドレスをまとったお嬢さん達とのアクロバティックな踊りは、目にも鮮やかで単なるミュージカルのダンスを越えた芸術の世界です。群舞の素晴らしさと言えば、ミュージカル史上でもやはりこの作品が一番でしょう。言葉で語り尽くせる物ではなく、ご自分の目で確かめて頂くのが一番です。開拓時代を舞台にしているのが幸いして、今も古さを感じさせません。

それから納屋作り競争。納屋を造るというのは、その地区の一大行事で、誰それの納屋を造るということになると、住民総出で出かけて、男性達は納屋作りに精を出し、女性達は食事を持ち寄り世間話にも花が咲く。ちょっとしたピクニック気分さえ感じられます。おまけにその納屋の作り方たるや、何組かでチームを組んであっちの壁とこっちの壁、早く組み立てた方が勝って賞品をゲットするという運動会的要素まで盛り込んであります。ただの助け合いだけでなく、娯楽的要素を組み入れて納屋造りをしていたのですね。

7人のハンサムと7人の美女が織りなす、ダンスと歌の華やかな総天然色の世界。突然歌い出すミュージカルはどうしても苦手という方でも、このアクロバティックな群舞のシーンだけは必見です!CGやSFX、今の映画技術がどんなに凄くても、人間にしか出来ない、人間ならではのすごさと楽しさをこのダンスシーンで再発見できます。


☆町のダンスで一度踊っただけで、弟達が皆その相手を生涯の伴侶と決めてしまうところがやや単純・・・。ま、あの兄にしてあの弟たちあり。それにあの派手な服って、ミリーが作ったのかしら(笑)。





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