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雨に唄えば



SINGIN' IN THE RAIN


1952年アメリカ映画  MGM
カラー  102分


監督 ジーン・ケリー スタンリー・ドーネン
出演 ジーン・ケリー ドナルド・オコナー
デビー・レイノルズ ジーン・ヘイゲン
ミラード・ミッチェル シド・チャリシー


サイレント映画からトーキー映画に移行せんとするハリウッド。サイレント映画のスターだったドンとリナのコンビもトーキー映画に挑戦することを余儀なくされる。ところがリナは綺麗な容姿にそぐわぬ悪声の持ち主。ドンと相棒のコズモは、新人女優のキャシーをリナの吹き替えに担ぎ出そうとする・・・。


文句なくミュージカル映画の最高峰の一つと言える傑作です。雨の中でジーン・ケリーが歌い踊る「雨に唄えば」の曲は多分大抵の方が耳にしたことがあるのでは?

舞台はサイレントからトーキーに移り変わるハリウッド。話す映画の出現に大騒ぎになるハリウッドの様子は映画ファンには堪えられません。この映画で語られている通り、トーキーの最初の映画は「ジャズ・シンガー」です。これを機にハリウッドは一気にトーキーの波に押し流されていきます。そしてそれまでの大スターたちが、スターの地位に安穏としてはいられなくなりました。実際に、トーキーの波に乗れなくて消えていったスターたちの何と多かったことか。声の質や、演技の問題、発音、訛など色々な要因があったでしょう。あのグレタ・ガルボでさえ、トーキー映画で生き残れるか?と言われたくらい。でも、見事にハスキーボイスで生き残り「ガルボトーク」と言われました。

話がずれましたが、とにかく楽しい映画です。音楽とダンス、ミュージカルの楽しさをギュッと凝縮しています。大降りの雨の中を街灯に登り、水たまりでぴしゃぴしゃやり、傘を振り回しながらジーン・ケリーが歌う「Singin' in the Rain」はいつ見ても一緒に歌いたくなります。この映画を初めて見た頃は、雨が降るとつい口をついて出たものでした。
他にも、ジーン・ケリー、 デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナーの三人が朝を迎えて家の中で歌い踊る「Good Mornin'」も好きなナンバーの一つです。これまた朝を迎えると口ずさみたくなる曲ですね。

それから、ドナルド・オコナーが孤軍奮闘する「Make 'em Laugh」!このドナルド・オコナーは本当に凄いです。顔芸、床の上でのくるくる回り、壁登り、など何でもあれの多芸ぶり。コズモにこんな芸があるのなら、実際のところドンとコズモのコンビでミュージカル映画を作るのが最善の策では?と思うのですが何故かそうならないところがこの映画の不思議(笑)。二人で歌い踊る「Moses」など見ていても、どんなにか素晴らしいミュージカルが出来ると思うのですが・・・。
ま、主役を張らないであくまで音楽監督に打ち込むコズモ。大スターのドンの陰に隠れていても全く悪びれない真から良い人ですね。

「ブロードウェイ・メロディ」のシーンでの、シド・チャリシーの登場もとても嬉しいですね。一歩間違えば何ともスタイルが悪く見えるローウエストの服もこの人が着ると映えてしまうからあら不思議。何とも綺麗で大人っぽくておまけにスタイルが良くて素敵な人なのです。
デビー・レイノルズは彼女の正反対に位置するようなとにかく可愛くてキュートな人。20年代風ペッタリ髪とローウエストのワンピースは彼女のトレードマークになったような感があります。それほどの当たり役であり、彼女の代表作です。

嫌な女性の代表格リナを演じたジーン・ヘイゲンの芸達者ぶりも忘れてはならないものだと思います。古めかしいドレスが良く似合う美貌の持ち主なのにこれだけ正面切っての嫌な役を演じるというのも勇気がいったでしょう。彼女はこの演技でアカデミー助演女優賞にノミネートされていますがさもありなんという名演技でした。派手なドレスのあちらこちらに隠したマイクで、台詞を何とか拾おうとするシーンは大爆笑でした。

ひたすら楽しい映画です。ついでにハリウッドの内幕もよくわかって面白いです。今や常識の吹き替えもこの頃はこんな大事件だったんですね。そんなバックグラウンドを知った上で、肩の力を抜いてとことん楽しんで欲しいです。


☆クイズです。ジーン・ケリーは「雨に唄えば」を雨の中で歌い終わってから持っていた傘をどうしたでしょうか?






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