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ソドムとゴモラ


SODOM AND GOMORRAH

1961年アメリカ・フランス・イタリア映画
カラー  155分

監督 ロバート・アルドリッチ セルジオ・レオーネ
出演 スチュアート・グレンジャー アヌーク・エーメ
ピア・アンジェリ ロッサナ・ポデスタ
   スタンリー・ベイカー クラウディア・モーリ
 ジャコモ・ロッシ=スチュアート


ヘブライの民を引き連れ砂漠をさまようロトは、ソドムとゴモラの地の側に自分たちの土地を手に入れて暮らすようになる。敵対する部族との戦いで勝利をおさめたロトたちは、ソドムの女王の寵愛を得て街で暮らすようになる。塩の商売を始め、すっかり豊かになった彼らだが・・・。


旧約聖書で有名な享楽と悪徳の地で名高いソドムとゴモラを舞台にした映画です。ソドムの女王役はアヌーク・エーメ。その弟で密かに姉を滅ぼし王位を狙うスタンリー・ベイカー。狐と狸が化かし合いをしている地にやってきたのがヘブライの民を率いたロトでした。質素な生活と勤労を重んじ、暴力を否定するロトでしたが、彼らの生活を脅かす他部族の襲撃に遭い、果敢な戦いを強いられます。そしてそれを機に彼らの生活は大きく変わっていくのでした。

この映画を初めて見たのはもうずっと前。まだ10代も前半か半ばの頃だったと記憶しています。とにかくショックを受けたのがこの映画のラストシーン。「振り向いてはいけない」という神の命令に・・・結果「ええっ!」。あのショックを引きずり続けて○○年。再び見る機会を得ることが出来ました。
ヘブライの長であるロトを演じるスチュアート・グレンジャーは、見た目がこんなに老けていたっけ?とちょっとショック。でも、長ですから当然かも。実年齢はまだ50前で老け役という年ではなかったのでした。ちなみにこのスチュアート・グレンジャー、本名はジェームズ・スチュアートといいますが、映画界入りする時に既に同姓同名の大先輩がいたので名前を変えたというわけです。その若き妻にピア・アンジェリ。ちょっと舌っ足らずなようなちょっと甲高い、ちょっと訛りのある、何と形容していいのかわからない声が印象的な美人女優です。ジェームズ・ディーン存命中に彼とのロマンスが有名でしたね。ロトの娘役には若かったロッサナ・ポデスタ。女王の弟スタンリー・ベイカーに誘惑されてメロメロになってしまう小娘といった役どころで魅力を振りまいています。長女の夫?婚約者?多分どちらかの役回りのイシュマエルは、俗物になっていくロトに一人反抗する若者で私好みのお兄さんでした(笑)。しかし、圧倒的存在感を示していたのはアヌーク・エーメでしょう。享楽の都ソドムの女王。自分を追い落とそうとする弟よりいつも一枚上手を行く頭脳派。その心に血は通っているのか?と悩むような美貌に恵まれながらも冷たい権力の虜となっている女王を何ともクールに演じています。笑うにしても、話すにしても、派手なアクションはなく、それでいて女王の威厳を示しているところはさすが。それにこの女王様、お召し物がとても素敵なのです。特に、白い薄衣のショールみたいなものをあちらこちらに通しているドレスは絶品でございました。

俳優さんにお金をかけているだけでなく、この映画は間違いなくセットや特撮にもお金をかけているでしょう。戦闘シーンの迫力。石油を使っての敵を食いとめるための火柱、そしてクライマックス。いかにも正しい歴史スペクタクルであります。ソドムとゴモラは確かに享楽と悪徳がはびこる街だったけれどあんな結果になったのはかなり複雑でもあるのですが、聖書のままの話なんだからストーリーに云々言っても仕方がありませんね。私が見たのは、113分のバージョンでどうも話がところどころ抜けている気がしてならなかったのですが、何とこの映画は155分あったのですね。短縮バージョンが日本では公開されたのでしょうか。どなたかこの疑問に答えて下さる方がいらしたら是非お願いします!

ピア・アンジェリの独白は○○年経った今も、鮮明に記憶に蘇りました。彼女は彼女なりの愛し方で、いや何にも増してロトを愛した結果だと思うと切ないです。


☆ソドムの女王の宮殿に豹がいます。享楽の宴の時も後ろでその豹がゴロンと暇そうに寝ころんでいる様が妙におかしいのでした。



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