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南太平洋



SOUTH PACIFIC


1958年アメリカ映画  20世紀フォックス
カラー 150分

監督 ジョシュア・ローガン
出演 ロッサノ・ブラッツィ ミッツィ・ゲイナー
ジョン・カー レイ・ウォルストン
ファニタ・ホール フランス・ニューエン


太平洋戦争の真っ最中の南太平洋のとある島。そこで従軍看護婦をするネリーは、島のフランス人農園主エミール・デ・ベックと惹かれあっていた。愛し合いながらも、二人の環境の違いなどに結婚を悩むネリー。そんな時、島に特務を帯びたジョー・ケーブル中尉がやってくる。ケーブルはエミールに特務への協力を頼むが、ネリーを愛するエミールはそれを断る。失意のケーブルは、島の有名人ブラッディ・メリーに導かれて、伝説の島バリ・ハイで知り合った娘リアットと恋に落ちる。


ミュージカルの第一人者、リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世のブロードウェイ大ヒット劇を映画化したものです。舞台から太平洋の島へと飛び出し、青い海、常夏の楽園の美しさを画面に映し出し、ロケの威力を70ミリの大画面でまざまざと見せつけた作品でもあります。

ミュージカルナンバーの定番となった「魅惑の宵」は、ネリーとエミールが歌うものですが、何故か突然夕暮れか?と思われるようなセピア色に変わった風景の中、それでもとにかく美しいこと。歌も美しければ風景も美しい。そして、伝説の島「バリ・ハイ」を歌うファニタ・ホールの圧倒的な歌唱力には脱帽してしまいます。映画の中での存在感も抜群!彼女は舞台版でも同じ役を演じて有名になりましたが、晩年は恵まれずに悲惨な最期を遂げたと記憶しています。

この2曲が圧倒的に有名ですが、他にも佳曲が目白押しです。ミッツィ・ゲイナーが恋に出会った喜びを全身で表現するパワフルな「ワンダフル・ガイ」。エミールのところで歌われるフランス語の「私に告げて」。この歌も可愛い。ケーブル中尉とリアットの恋で歌われる「春より若く」そして「ハッピー・トーク」。「ハッピー・トーク」はフランス・ニューエンが可愛さを発揮しています。この時の彼女のしているのは正確な手話なんでしょうか。それらしくも見えるのですが、関係ない振り付けなのかな?

ミッツィ・ゲイナーが明るいアメリカ娘の無邪気な魅力を発揮すれば、ロッサノ・ブラッツィは中年の色気を発揮しています。この年の差コンビはあまり気にならないくらい結構お似合い。もう一つのカップルのケーブル中尉とリアットも若さいっぱいで微笑ましいです。

でも、背景は太平洋戦争。どんなに明るくても戦争はすぐそこで行われているのです。戦っている相手は勿論日本軍ですので、そこが日本人としては辛い点ですね。

それから、この映画のテーマの一つに人種問題があります。ケーブル中尉とリアットはずばり人種が違うのですが、ネリーは白人のエミールが以前現地人の女性と結婚していたことに悩みます。「何故そんなことにこだわる?」と問うエミールに、ケーブル中尉が「それは教育のせいだ」と答えるシーンが印象深かったですね。性格なんかじゃない、それは教育なんだ。自分と違うものは怖がれ、と小さいときから教わってきたその結果なのだ・・・。何とも考えさせられる台詞でした。

戦争の悲惨さというよりは、楽天的なところがあふれている映画ではありますが、ミッツィ・ゲイナーが「Live, live, live!」と祈る場面、そしてラストシーンは泣けます。

エミールは任務を断る時に、「自分には大事なものがあるから」という発言をします。「愛の方が大事」というのはいかにもフランス人(笑)。でも、世界中の人たちがみんな自分の周りの大事な物にもっと固執してそれを守るための平和にこだわったら、世界平和も実現しやすいのに・・・と、理想主義者の私は考えてしまうのでした。現実は、難しいです。


☆かき回し役で剽軽者のルーサーを演じるレイ・ウォルストンが光っています。女装も含めて(笑)。

も一つ☆この映画、テレビドラマとしてリメイクされました。ドラマとはいえスケールは大きくてびっくり。何とネリー役がグレン・クロースで2度びっくり!エミール役のレイド・セルベッジアは格好良くて歌声も素敵でした。ケーブル中尉はハリー・コニック・ジュニアが演じていました。グレン・クロースの年に対する悩みは置いておいて、なかなかの佳作でした。






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