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2002/2/10 |
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Sylvain GUILLAUME
フランス スキーノルディック複合選手 1968年7月6日生まれ
アルベールビルオリンピックで日本が金メダルを獲得して、すっかり有名になったノルディック複合競技。ジャンプと距離を一人でこなすこの競技は、スキー競技の中でも難しい種目で、勝者には「キング・オブ・スキー」の称号が与えられる。
このアルベールビル複合競技で、人々の度肝を抜いたのがシルバンだった。
日本が優勝した団体戦のしばらく前には個人戦が行われた。複合競技は前日にジャンプを三本跳び、得点の良い二本が採用される。二日目は十五キロの距離競技を行うが、ジャンプの成績の良かった者からタイム差をつけて出発する。タイムは関係なく、最初にゴールインした者が優勝する。スタート順は悪くても、途中で何人も追い越すことが出来れば、良い成績を収めることが出来るわけだ。
優勝はフランスのファブリス・ギー。三番スタートだったが、一、二番スタートの選手を追い越して独走した。ワールドカップチャンピオンとしての前評判通りの金メダルだった。だが、このギー以上に、会場を沸かせたのが、シルバン・ギョームだった。
ギョームのスタートは十三番目。多少、距離に自信があるにしても、メダルを狙うのは到底無理と思われる順位だった。テレビの画面も上位の選手を追う。ところが、誰も注目していないうちに、彼はスルスルと自分の前にいた選手を追い抜き始める。
後半、日本のテレビは五、六位の位置にいた荻原選手の姿を映し出すが、いつのまにかその側に、スタートナンバーの十三のゼッケンをつけたギョームの姿が映っていた。「十三番スタートの選手の大躍進」と、解説者が驚いていた。試合終了後、荻原は言った。
「いつのまにか、十三番のギョームが側に来ていて、あせってしまった」 .
これだけのこぼう抜きをするということは、猛スピードで飛ばしているわけだから、疲れてしまって終盤は伸びないだろう、というのが大方の予測だった。だが、ギョームにはその言葉は当てはまらなかった。
疲れた顔など全く見せずに、上位の選手をスイスイ抜き続ける。やがて、二番手を走っていた選手さえもかわして、二位でゴールしてしまった。フランス勢のワン、トゥーフィニッシュ。タイムだけで見れば、ギーよりギョームの方が速かった。
十三番スタートの選手の銀メダル獲得は大ニュース。ギョームは人口七百何人の小さな村の出身だが、団体戦の時には、村の半数が応援に駆けつけたという。まさしく村の英雄だった。
歴史に残るようなごぼう抜きを記録したヒーローは、ゴールインしてからも疲れも見せず、長い金髪を風になびかせて、ひょうひょうとした様子で立っていた。
その後も彼は活躍を続けた。ワールドカップでは上位の常連であり優勝したこともある。
リレハンメルではあまり成績がパッとしなかったが、再び彼は長野の
地に立った。すっかりベテランとして若手を引っ張っていく立場にあった。
そして団体で銅メダル獲得。表彰台に登る彼は、日本式お辞儀をあちらこちら向いてするひょうきんさを見せて、その気さくな人柄を思わせた。
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