「サウンド・オブ・ミュージック」キャスト紹介




















































































































































































































ジュリー・アンドリュース
 優しく明るい家庭教師マリア役。アルプスの山々に響く歌声が素晴らしい。
 1935年10月1日、イギリスサリー州ウォルトンオンテームズ生まれ。
両親は芸人で幼い頃から両親と一緒にレビューに出演してその喉を磨いた。1954年に渡米し、舞台デビューを飾る。「マイ・フェア・レディ」でヒロインのイライザを務め大ヒットを記録するが、映画化では大スターだったオードリー・ヘプバーンに主役を奪われる形になった。しかし同年「メリー・ポピンズ」で映画デビュー。奇しくも主役を奪われたはずのジュリーは同年のアカデミー賞主演女優賞を受賞する。続いて、ブロードウェイの大ヒット作「サウンド・オブ・ミュージック」に主演。優しい家庭教師のマリアは、清純なジュリーにうってつけで、映画は歴代興行収入No1のヒットに。ジュリーもマネーメーキングスター一位の座に上り詰め、アカデミー賞にノミネートされる。2年連続受賞は残念ながら逃したがミュージカルの女王の地位は確固たるものとなった。
 その後も「ハワイ」「引き裂かれたカーテン」「モダン・ミリー」「スター!」などミュージカルは勿論ヒッチコックサスペンスまで幅広く出演を重ねるが、「サウンド〜」以上の作品はなかったというのが本音か・・・。「ティファニーで朝食を」「ピンクパンサー」シリーズなどで有名な夫のブレーク・エドワーズ監督と組んだ映画も何本か作っている。その1本、82年の「ビクター・ビクトリア」では男装の歌手を演じ、その男装が逆にジュリーの女らしさを引き出したと評判になる。映画の出来もよく、再びアカデミー賞にノミネートされる。
 また映画以外では児童文学を執筆していて、「マンディ」「偉大なワンドゥードゥル最後の一匹」が日本でも出版された。来日コンサートも何度か行っている。
 昨年その活躍を称してデイムの称号が贈られた。しかし、喉の病気でもう歌えないというニュースも飛び込んでファンを驚かせた。現在はリハビリに専念して歌への意欲に燃えている。再びあの美しい歌声を聞ける日が来ることを願ってやまない。
 2000年度アカデミー賞授賞式で、「サウンド・オブ・ミュージック」の脚本家アーネスト・レーマンに名誉賞を授与するプレゼンターとして登場し、元気な姿を見せてくれた。
 新作「プリティ・プリンセス」では気品あふれる女王様を演じて、貫録を見せつけた。


クリストファー・プラマー
 厳格なトラップ大佐役。
 1927年12月13日、カナダのトロント生まれ。
 50年にカナダの劇場でプロデビュー。54年にはブロードウェイに進出する。その後カナダ、全米各地、ヨーロッパでシェークスピア劇をはじめとした数々の舞台に立ち、61年の「ベケット」ではいくつかの賞を受けている。
映画デビューは58年の「女優志願」。64年の「ローマ帝国の滅亡」で注目され、翌65年の「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐役でスターダムに登った。
 その後も「将軍たちの夜」「空軍大戦略」などの高級将校役を得意とした。一方で「王になろうとした男」のキプリング役や「インターナショナル・ベルベット」や「ハノーバー・ストリート」などの好感の持てる役も味があって忘れられない。しかし、役柄としてはちょっとゆがんだ悪役が得意といえるだろう。「マネーチェンジャーズ」ではカーク・ダグラスと並ぶ主役を務め、お茶の間にも悪役としてアピールした(?)。
 現在も「スタートレックY未知の世界」でのクリンゴン人(何と!)から、、「12モンキーズ」「インサイダー」など幅広く活躍している。
 娘のアマンダ・プラマーも女優として活躍している。今切れた女性を演じさせたら彼女の右に出る人はいない、と私は密かに思っている。


エリナー・パーカー
 美しいシュレーダー男爵夫人役。
 1922年6月26日アメリカオハイオ州生まれ。
 パサディナ・プレイハウスの研究生だった頃に、その美しさからスカウトされ、41年の「壮烈第七騎兵隊」でデビューした。その美しさは群を抜いていて、ハリウッド新人中でも抜群の美人という噂が高かった。現実に50年代女優最高の美女という声もある。
 美貌だけではなく、演技力も折り紙付きで、メイクやファンションセンスの良さでも定評があった。「サウンド・オブ・ミュージック」でも30年代女性の役ながら男爵夫人の服装センスは抜群で、センスの良さを裏付けている。
 50年の「Caged」ではヴェネチア映画祭女優賞を受賞。名実共にトップスターの座に登り、50年代の快進撃が始まる。「探偵物語」の過去のある人妻役や、「黄金の腕」のフランク・シナトラを悩ませる妻、「黒い絨毯」のアマゾン奥地に写真結婚で赴く妻など、どれも美しくまた長く人々の心に残る名演だった。アカデミー主演女優賞にも何度もノミネートされたのだが、運が悪いのか何故か受賞できず、ハリウッド残念伝説の1人に数えられている。
 「サウンド・オブ・ミュージック」以後も「オスカー」「サンバーン」などに出演。またテレビ出演も多かったが、最近はほぼ引退生活に入っている。ビバリーヒルズのあの白亜の館(実は彼女の家を外から拝見しました)で悠々自適の生活を過ごしていることでしょう。


リチャード・ヘイドン
 トラップ大佐の友人マックス・デトワイラー役。
 1905年3月10日、ロンドンにて生まれる。スコットランドのプロコーラスで彼のプロの道は始まった。41年のゲーリー・クーパー主演の「教授と美女」でハリウッドデビュー。その後、「そして誰もいなくなった」「皇帝円舞曲」「メリー・ウィドウ」「哀愁のロシア」「戦艦バウンティ」「気球船探検」などで活躍。渋い脇役だが、味のある演技を披露した。共演はビング・クロスビー、ジョーン・フォンテーン、クラーク・ゲーブル、ラナ・ターナー、マーロン・ブランドなど一流ばかり。「哀愁のロシア」のロシア人妻を救い出そうとする夫や、「戦艦バウンティ」の緊迫した対立の中で1人植物研究に没頭するところなど、この人のどこかユニークだけれど善良なキャラクターが生きていて、好感が持てた。
 映画出演は74年の「ヤングフランケンシュタイン」が最後になった。
 85年4月25日に心臓発作で死去した。


ペギー・ウッド
 慈愛深い修道院長役。
 1892年2月9日ニューヨークブルックリン生まれ。
 舞台を中心に活躍していた人で映画出演はあまり多くない。
 37年の「スタア誕生」やジンジャー・ロジャースの「アメリカの恋人」などに出演しているが、49年から57年にかけて出演したテレビシリーズ「ママの想い出」が一番ポピュラーと言えるだろう。
 「サウンド・オブ・ミュージック」では「すべての山に登れ」を歌いながら若いマリアを諭すように、年輪を積み重ねた深い味わいが生きていた。この役で同年のアカデミー助演女優賞にノミネート。惜しくも受賞は逃したが、彼女にとっては良い思い出だったのではないか。
 1978年3月10日に死去した。


シャーミアン・カー
トラップ家の長女リースル役。
1942年12月27日イリノイ州シカゴ生まれ。
65年の「サウンド・オブ・ミュージック」の長女役で映画デビューした。その後しばらく女優活動を続けたが、67年に結婚後はほとんど活動していない。96年にテレビ放映されたドキュメンタリー「Rodgers & Hammerstein: The Sound of Movies 」でプレゼンターの1人を務めている。
女優業以後はインテリアデザインの仕事に従事しはじめ、マイケル・ジャクソンの家のインテリアを手がけたり、ヘザー・メンジーズ&ロバート・ユーリックの家の内装を手がけたりしている。また、長男役のニコラス・ハモンドと仲が良く、オーストラリアに訪ねたりしているらしい。
2000年の2月に「サウンド・オブ・ミュージック」の想い出をまとめた「Forever Liesl」を出版。ベストセラーになっている。


ニコラス・ハモンド
長男フリードリッヒ役。
1950年5月15日、ワシントンDC生まれ。
「サウンド・オブ・ミュージック」でデビューした後、しばらく活動を休止していたようだが、プリンストン大学卒業後、70年代から精力的に活動している。「ゆかいなブレディ家」「ガンスモーク」などにゲスト出演した後、77年から「スパイダーマン」のシリーズに出演。アメリカンコミックの世界を映像化したこのスパイダーマンの役で人気を得る。この頃、ヘザー・メンジーズがヒロインを演じた「ローガンズ・ラン」にもゲスト出演している。その後も「火星年代記」「海底2万マイル」などのミニシリーズや、「私立探偵マグナム」「ジェシカおばさんの事件簿」「スパイ大作戦」などにゲストで出ている。2001年春のNHKBSの新番組「ロストワールド」にも第2シーズンにゲスト出演している。
脚本の執筆にも従事していて、既に2作がドラマ化されている。
10年ほど前にオーストラリアに旅行に行った際その地が気に入ったらしく、現在はオーストラリア在住で出演作もオーストラリアの作品が多い。


ヘザー・メンジーズ
次女ルイザ役。
1949年12月3日、カナダのトロント生まれ。
「サウンド・オブ・ミュージック」がデビュー作。バレエを習っていたというその身のこなしはダンスシーンで生きている。ロケ中から妹役のアンジェラ・カートライトとはすっかり意気投合して仲良くなったらしい。
66年の「ハワイ」ではジュリー・アンドリュースの妹役で出演。その後もテレビドラマの「ドラグネット」「ボナンザ」「SWAT」などにゲスト出演している。77年のテレビドラマ「ローガンズ・ラン」(映画「2300年未来への旅」のテレビドラマ化)でヒロインのジェシカ役を演じ、人気が出た。このドラマではニコラス・ハモンド、アンジェラ・カートライトとも共演していて、ちょっとした同窓会気分も味わえる。その後もロジャー・コーマン製作、ジョー・ダンテ監督の映画「ピラニア」の知的なマギー役などで好印象を残す。また舞台活動にも積極的で、ブロードウェイの舞台でシャーリー・ナイトと共演している。
75年に「ベガス」や「SWAT」で人気のあった俳優ロバート・ユーリックと結婚。夫婦で舞台共演したこともある。結婚後は芸能活動はあまり行っていないが、ロバート・ユーリック癌基金の活動に従事したりしておしどり夫婦ぶりを見せている。


デュアン・チェイス
次男クルト役。
「サウンド・オブ・ミュージック」でデビューを果たすが、高校卒業後にショウビジネス界を離れ、今はシアトル郊外でコンピューター関係の仕事に従事している。
66年にテレビドラマ「バークレー牧場」で長男ジャロッドが記憶喪失になり身を寄せる家の息子役で出演していたことが記憶に残る。


アンジェラ・カートライト
三女ブリギッタ役。
1952年9月9日、イギリス生まれ。
ロサンゼルスに移ったあと、3才の頃から子供モデルとして活躍。映画デビューも果たす。「サウンド・オブ・ミュージック」の頃は場数も踏んでいて、子供たちの中で格段の演技慣れを感じさせるのも頷ける。65年から始まったテレビシリーズ「宇宙家族ロビンソン」でペニー・ロビンソン役を演じ、お茶の間のアイドルになる。79年には「ポセイドン・アドベンチャー2」に出演。若き日のマーク・ハーモンに助けられる若い娘役を演じた。76年に結婚後は出演は少なくなっている。"Rubber Boots"というインターネット上のショップを現在運営している。
98年の「宇宙家族ロビンソン」の映画化である「ロスト・イン・スペース」ではちらりとゲスト出演を果たしていた。
ヒッチコックの「鳥」でロッド・スタイガーの妹役を演じていたベロニカ・カートライトは彼女の実の姉で、ベロニカの方は「エイリアン」「ライトスタッフ」などを経て現在も活躍している。


デビー・ターナー
四女マルタ役。
南カリフォルニア生まれ。六ヶ月の時からコマーシャルなどで活躍してきた。
「サウンド・オブ・ミュージック」以降は出演作は少ないが、端役ながらノック・ノルティの「ノースダラス40」やトム・クルーズの「ザ・ファーム/法律事務所」に出ている。
現在はミネソタに住んでフラワーデザインの仕事をしている。


キム・カラス
五女グレートル役。
三才の時に映画のキャリアをスタートさせる。「スペンサーの山」ではヘンリー・フォンダとモーリン・オハラの娘役。「スリルのすべて」ではジェームズ・ガーナーとドリス・デイの娘役と共演者は超一流。
「サウンド・オブ・ミュージック」以降は「ラッシー」「宇宙家族ロビンソン」「ゆかいなブレディ家」など主にテレビドラマのゲスト出演を重ねていた。その後学業に従事するがUSC卒業後、再びテレビ出演している。パリにモデル業と勉強の為に渡り、その後アメリカに帰国。いくつかの出演を経て、家庭に入っていたが、現在女優業への復帰を考えているとか。


ダニエル・トルヒット
長女リースルのボーイフレンドロルフ役。
二人で歌い踊る「もうすぐ17歳」が印象に残る。他に目立つ出演作はないようである。


アンナ・リー
修道院内で唯一マリアの味方になってくれるシスター・マルガレータ役。
1913年2月2日イギリス生まれ。「シャーロック・ホームズ」を生み出した作家のアーサー・コナン・ドイルが名付け親という。
ロンドンのロイヤルアルバートホールでレッスンを受けた後、映画デビューを飾る。1930年代後半に夫のロバート・スティーブンス監督(「メリー・ポピンズ」などを監督した人)とハリウッドに渡って、「アパッチ砦」などのジョン・フォード映画などで活躍する。「わが谷は緑なりき」の主人公のヒュー少年が慕う長兄の妻役など忘れがたい演技が多い。その後も「幽霊と未亡人」「馬上の二人」「何がジェーンに起こったか」など脇役ながら有名な作品への出演が多い。
70年には「ジェニーの肖像」などで知られるロバート・ネイサンと3度目の結婚をしたが、85年に彼の死を看取った。


ポーティア・ネルソン
マリアにちょっと辛辣なシスターベルテ役。
1920年アメリカユタ州生まれ。
主にブロードウェイで活躍していた。映画は「サウンド・オブ・ミュージック」がほとんど最初。その後「バークレイ牧場」のゲスト(何故かまたシスター役)や「ドリトル先生不思議な旅」「悪を呼ぶ少年」「天使の怒り」などに出演。
"There's A Hole In My Sidewalk: The Romance of Self Discovery". という本の執筆もしていて、70年代に出版、94年には再版されて、映画「グッドウィルハンティング」に於けるロビン・ウィリアムスのオフィスのポスターにも載っているという話。
2001年3月6日にニューヨークで亡くなっている。


ベン・ライト
ナチスに与すヘル・ツェラー役。
1915年3月5日、イギリスロンドン生まれ。
ロイヤル・アカデミーで演劇の勉強をした後、ウエストエンドで舞台に立つ。父親がアメリカ人で、46年にいとこの結婚式の為に渡米したのを機に、ハリウッドに腰を落ち着ける。最初はラジオの仕事が主だったが、そのうち映画、テレビに進出し、「ガンスモーク」「アンタッチャブル」「ペリー・メイスン」「ミステリーゾーン」「コンバット」「逃亡者」「スパイ大作戦」などの大ヒットテレビドラマの多くにゲスト出演している。彼のゲスト歴をたどると、それだけでアメリカテレビドラマの歴史年表が作れそうである。映画は「戦艦バウンティ」「ニュールンベルグ裁判」などの大作に出演。脇役が多かったが、渋い演技できらりと光る。アニメ「101匹わんちゃん大行進」では声の出演もしている。最後の作品はアニメ「リトル・マーメイド」での声の出演。
1989年7月2日にカリフォルニアで死去している。



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