「サウンド・オブ・ミュージック」映画製作裏話



















興行収入は語る
1963年、20世紀フォックス社は、空前の290億円という制作費をかけてエリザベス・テーラー主演で「クレオパトラ」を作った。その絢爛豪華なセットには、目を奪われるばかりだった。しかし、映画の質はともかくとして、この映画はあまり当たらず、制作費の回収にはほど遠い状態だった。そのために、20世紀フォックスは経営危機に陥る。
現実に、メジャーの映画会社が一本の映画のためにつぶれた例はある。例えばマイケル・チミノの「天国の門」も作品の質は良かったが、制作費を回収出来ず結果的にユナイト社を潰すことになった(その後MGMに吸収され、MGM/UAに)。
20世紀フォックスは、会社の危機に直面しながら65年に「サウンド・オブ・ミュージック」を作った。これもまた、「クレオパトラ」ほどではないにしても、ザルツブルグロケなどで多大な出費を強いられる映画ではあった。しかし、「サウンド・オブ・ミュージック」は公開されるや否や大ヒットを記録した。アカデミー作品賞も受賞し、遂には1939年の公開以来「風と共に去りぬ」がずっと君臨していた映画興行収入No.1の座を奪い取るに至った。この一本は、完全に20世紀フォックスを救ったのだった。
この後、77年に「スター・ウォーズ」が興行収入No.1を奪うまで、「サウンド・オブ・ミュージック」の一位の座は続いた。奇しくも「スター・ウォーズ」もまた20世紀フォックスの映画だった。



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