歌うイライザ、歌わないイライザ

「サウンド・オブ・ミュージック」映画製作裏話

靴は時間の流れを逆転させる

ご存じとは思うが、映画の撮影はシーンの順番通りに撮影されるわけではない。時には、ラストシーンを最初に撮ったり、冒頭のシーンを最後に撮ったりすることもある。

さて、子供たちが何かといえば年の順に並ぶのは、大佐の軍隊式教育の賜だが、長い撮影期間中に育ち盛りの子供たちはグングン背が伸び、身長の逆転現象が起きたらしい。年下の子の方が背が高くなってしまったのだ。それが、ストーリーの順番通りならさほど問題もなかろうが、後のシーンでは小さかった子が前のシーンで大きくなっていては困るというもの。そこで、子供たちの靴の高さを調節して、身長順を崩さないようにスタッフは苦労したらしい。長男役のニコラス・ハモンドに至っては、やはり一番伸び盛りだったのか、遂には靴下だけで撮影に挑まねばならなかったシーンもあったという。ご苦労様。