ワールドカップ特集
























2006/5/6
ルベン・バラハ


RUBEN BARAJA VEGAS
1975年7月11日生まれ スペイン
180cm


スペインでは、ボランチに相当するポジションをピポーテと言います。チームでもスペイン代表でも、‘ピボーテ’と言えばこの人とばかり長くその位置に君臨してきたのがこのルベン・バラハ。アルベルダとは、チームでも代表でもコンビを組み、ドブレピボーテとして大きな注目を浴びてきました。中盤を支配するその精力的な動き。アルベルダが主に守備的だとしたら、バラハは攻撃的。バラハが上がれば、アルベルダが下がる。この二人の一糸乱れぬ見事なコンビネーションが、バレンシアでも代表でも大いに威力を発揮してきました。おまけに、二人でチームのダブルキャプテン、いやドブレカピタン?まあ、とにかくこれほど息の合ったコンビってちょっと知りません。

バラハの魅力は、守備に於ける貢献度だけではありません。まずゲームメイク。いつの間に見ていたのかと思うほど、右に左にボールを振り分けて、サイド攻撃のきっかけを作ります。そしてピボーテなのに抜群の得点力。バレンシアがリーガで優勝した2001−2002シーズンでは、チーム得点王でした。何とピボーテなのに!代表でも、結構得点を決めています。一つには、とにかく凄いフリーキック。ズドンと来る迫力あるフリーキックは、ちょっと止められません。かと思えば、壁を超えて絶妙の隙をつく技巧のフリーキックを見せてくれたりもします。ミドルシュートも凄い迫力。セットプレーなどでのヘディングの強さ。いつも絶妙の位置取りによりシュートチャンスを狙っているその姿勢。本当にまあ、ちょっとしたフォワードの比ではないかもしれません。プレーに知性が感じられるところもグッドです。


どちらかと言えば、パワーと迫力と貫禄の人で、ルックスにも甘さがないため、ちょっと取っつきにくい人という印象を受けてしまいますが、とにかくみんなが認める良い人らしいです。そういえば、試合開始前にも他チームの選手がせっせとバラハの元に寄ってきて挨拶していますね。私が彼のことを本当に良い人だなあ、と思ったのは、2004−2005シーズンの対アトレティコ戦で、アイマールが相手選手との接触で意識を失うという大事件が起きた時。当然ピッチは騒然とし、メディカルスタッフが出てきて応急措置を行うのを選手達が遠巻きに見守っていました。近くで何とも頼りなげに、心配そうに見守る選手が一人。アイマールと接触した相手選手でした。多分、彼も心臓バクバク状態だったでしょう。まだ若い選手だし。そこへ、バラハが近寄って肩に手を置いて何やら慰めている様子。相手チームの、アイマール負傷の原因を作った選手(まあ、彼の責任ではないにしても)にです。こういうシーンで、こういう立場にある人を慰める気持ちがある人が、心優しい人でなくて何でありましょう。彼のプレースタイルは元から大好きでしたが、ますます好きになってしまった瞬間でした。

2002年のワールドカップ、2004年のユーロ。常にバラハの姿はレギュラーとして代表チームにありました。そのバラハも三十路を超えてしまいましたが、何が何でもドイツでもその勇姿を見せて欲しい。絶対、スペインに必要な選手です。





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