ワールドカップ特集









































2002/4/7
エマニュエル・プティ

Emmanuel Petit
1970年9月22日生まれ フランス
185cm


ピッチに揺れるブロンドのポニーテールがとても美しいフランスチームきってのフォトジェニックな選手です。でも、彼は決してルックスだけではありません。98年W杯フランス優勝の陰の立て役者とも言われている大変力のある選手なのです。

その華麗なルックスからさぞかしプレーも派手かと思いきや、守備的ミッドフィルダーというポジションからも彼のプレーは、実はとても渋くて堅実で黙々としたものです。プレーのスタイルはむしろ玄人受けする選手です。基本的に、相手の攻撃の芽をつみ取るのが役目と考えて頂ければ良いでしょう。勿論、それだけではなくて攻撃参加もしますし、大事なつなぎもするのですが、中盤のなくてはならない大事なポジションだけれど、脚光を浴びるポジションというわけでもない・・・ちょっと複雑な位置です。でも、彼の場合は揺れる黄金のポニーテール故にその存在がとても目立つのではありますが。


彼が10代後半でフランスでサッカー選手としてデビューした頃、5歳上のお兄さんも選手として活躍していました。しかし、ある日突然そのお兄さんがピッチ上で帰らぬ人になったのです。彼の受けたショックは大変なもので、サッカーをやめようとまで思い詰めたそうです。そんな彼を叱咤激励してピッチに戻したのが、アーセン・ベンゲル監督でした。現アーセナル監督で、以前は名古屋グランパスで指揮を執り、グランパスを一躍躍進させたあの人です。そして、ベンゲル監督の下、マニュ(プティの愛称)は段々頭角を現して来ました。代表にも入りましたが、「パリの悲劇」と言われる伝説的な94年W杯予選敗退の屈辱を味わい、それでもまた思い直してのサッカー人生でした。


98年W杯前は彼はレギュラーを狙うには難しいポジションにいたようです。しかし、開幕時にエメ・ジャケ監督からスタメンを告げられ、それこそ鳩が豆鉄砲を喰ったような顔をしていたそう。しかしながら、監督の読みは当たり、マニュは予想以上に素晴らしいプレーを見せます。予選のデンマーク戦では代表初ゴール。体全体で喜びを表現して走り回る彼の姿には、思わず「良かったね」と声をかけてあげたくなるほどでした。そのゴールのプレーも素晴らしかったのです。何度も跳ね返されるボールを、彼が受けてそれこそ雑踏に近い人混みの中を一直線に突き抜ける黄金の左足の弾道でした。予選リーグを闘い終えて、彼はすっかりレギュラーで定位置を確保し、なくてはならないスタメンになりました。


ジャケ監督曰く、「マニュはデリケートで扱いに気をつけなければいけない」そうで、繊細な性質のようですがその繊細さが彼のポジションでの針に糸を通すようなプレーに向いているとも言えるでしょうか。

W杯での決勝戦。マニュの活躍は相変わらず素晴らしいものでした。ジダンのヘディングゴールのアシストになるコーナーキックを蹴ったのはマニュでしたし、NHKのアナウンサーが言っていた「ブラジルに終わりの鐘を告げる3点目」を決めたのも彼でした。それがW杯での20世紀最後のゴール。

ユーロ2000でも相変わらず彼の活躍は光っていました。決勝戦だけは風邪による発熱で出られなかったのが残念で、彼にはちょっと不完全燃焼のところも残ったかもしれませんが、やはり彼はチームになくてはならない選手ですし、彼に代わる選手は今のところ誰もいません。

それにフランスでは女性に人気No.1。但し、一定の(多分大人の)年齢層以上の女性に人気があるようです。美しくて華麗だけれど、どこか母性本能を刺激するような繊細さと可愛さを合わせもっているところが大人の女性にモテるのでしょうね。ちなみにシラク大統領夫人も彼のファンと聞きます(笑)。


アーセナルでベンゲル監督指揮下で黄金時代を過ごしたあと、バルセロナに移りますが、ここでは彼に合った使い方をしてもらえず、今は新天地チェルシーで活躍しています。
怪我などよほどのことがない限り、マニュはW杯のフランス代表の中心メンバーの一人として日韓の地を踏むでしょう。優勝国は開幕戦を闘います。W杯史上20世紀最後のゴールを決めたマニュに、今度は21世紀最初のゴールを決めてもらうことが私の夢です。



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