ワールドカップ特集



















2002/6/18
リスボンで陽は昇る



ポルトガルは実に運のないチームだ。世界最高とも言われる魅惑の中盤を持つ華麗なサッカーで一世を風靡しておきながら、世界の舞台に縁がなかった。出場かなったユーロ2000では、欧州一の座をフランスに奪われた。

フィーゴ29歳。ルイ・コスタ30歳。ポルトガルを支え続けたゴールデンエイジが円熟期を迎えて満を持して迎えたこのワールドカップ。ポルトガルは勿論優勝候補の1つで、世界のサッカーファンはその流麗なプレーの数々を見ることをどんなにか楽しみにしていたはずだ。そのポルトガルが予選リーグ敗退の憂き目にあった・・・。

今回ほど、華麗なパスワークで攻め上がる攻撃的で見ていて楽しいサッカーをするチームが苦しんだ大会はなかったのではないだろうか。ポルトガルは初戦でアメリカに足を掬われて、その後立て直したものの、最終戦で開催国韓国に負けてしまった。観客をすべて敵に回した中での試合はどんなにかやりにくいことだろう。おまけに退場者を次々と出すことになってしまって、遂には9人で戦うことになってしまった。ポルトガルが持つ黄金の中盤は見せ場を作ることが出来ず、世界にその華麗なサッカーを見せることなく散ってしまったことがつくづく惜しい。

大舞台で勝てないのはメンバーが今までワールドカップを経験したことがなかったからなのだろうか。欧州のビッグチームでプレーする選手たちがそんなことで萎縮するとも思えないのだが。ポルトガルもまた、「負けないサッカー」をすることが出来ないチームだった。彼らにとってサッカーは魅せることであり、攻めることであり、勝つことだった。

とても29歳とは思えないフィーゴでさえも流さずにはいられなかった無念の涙。彼らの年を考えるとワールドカップはこれが最初で最後だったろうか。

とりあえず、2004年にはポルトガルで欧州選手権が開かれる。その時こそ、彼らは今までのすべての無念をぶつけてくるだろう。彼らが一人残さず2年後に再び顔を揃えて再び華麗なサッカーを魅せてくれるのを楽しみにしている。



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