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ダレン・シャン−奇怪なサーカス

ダレン・シャン
Darren Shan

小学館


ハリポタの作者J.K.ローリングが絶賛したというふれこみで売り出された本です。十年ぐらい前は、ハリポタがらみで売り出されるファンタジーの翻訳が多かったですね。××××とか××××とかいう出版社がそういった、ハリポタ景気に便乗した商法をやっていましたが、「チーズはどこへ消えた?」に便乗した類似本商法よりはましかもしれません。いずれにしても、すぐれたファンタジーがたくさん翻訳されるのは大歓迎です。

タイトルと作者の名前が同じなのがこのほんの変なところ。ダレン少年はサッカーが好きな、ふつうの男の子。でもクモが大好き。ひょんなことがきっかけでとあるサーカスのチケットを手に入れ、友だちのスティーブと夜中に見に行くことになります。でもそれはサーカスというよりも、フリークショウだったのです。

登場するのは狼人間ウルフマン、手男ハンス・ハンズ、歯女ガーサ・ティースなど。クモが好きなダレンは、特にラーテン・クレプスリーと彼が操るタランチュラのマダム・オクタが気に入ってしまいました。クレプスリーは笛を使ってマダム・オクタを自由に操ります。ところが、友だちのスティーブはどうも様子が変。マダム・オクタよりも、クレプスリーのほうに惹かれているのです。

実はスティーブはクレプスリーの正体をひと目で見破ってしまったのです。そしてスティーブはサーカスが終わった後でクレプスリーと接触します。それを隠れて見ていたダレン。その後ダレンはふたたびサーカス会場に忍び込み、なんとマダム・オクタを盗んでしまいます。自分のペットにするのです。毒グモをペットにしたがるなんてとんでもないですが、少年にしてみればクールなことなのでしょう。

そして、あることからスティーブが瀕死の状態になり、彼を救うためにダレンはクレプスリーと取引をしなければならなくなり、二度と元に戻れないもう一つの人生に足を踏み込むことになるのですが・・・

まず、フリークショウというところがすごい。ふつうだったら差別問題につながりそうなのでおいそれとは書けないと思うのですが、この作者は平気で書いちゃってます。それを見に行きたがる少年たちの心理も、男性なら理解できるでしょう。クモや爬虫類が苦手な人にはおすすめできない本ですが、そういったものをクールと感じる少年たちはよく描けていると思います。

ハリポタの作者が絶賛したとあればそれを宣伝に使わない手はないとは思うのですが、何でもかんでもハリポタがらみで売ろうとするのはどうかと思います。そんなことをしなくても、面白いものは面白いのですから。それとも、そうでもしなければ、どんな面白いものでも世間に無視されてしまうのでしょうか。たとえばジョン・ベレアーズの「壁のなかの時計」(アーティストハウス)もハリポタの原点というふれこみで売り出されましたが、評論家の風間賢二さんは「これを読むとハリポタがハリボテに思えてくる」と絶賛しているくらい面白い本です。それに、もしもハリポタが気に入らなかった人なら、ハリポタに便乗する形で売り出された本には手を伸ばさないかもしれません。だとしたらとても残念です。

☆ボクはクモにも爬虫類にも興味はありませんが、ババちゃんはゾウのくせにイグアナが大好き。ペットにしたがっています。もちろん、そんなことをベベちゃんが許すはずはありません。ベベちゃんは爬虫類も昆虫も大の苦手なのです。





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