おすすめ本































































小さなスプーンおばさん
Little old Mrs Pepperpot


アルフ・プリョイセン


学習研究社


ぱおー。有名な童話シリーズであります。NHKでも放送されていたらしく、NHK放映版の本も出ていますがどうやら品切れ状態。

名前はスプーンおばさんですが、英語版では「Mrs Pepperpot」。まあ、どちらでも小さいことには変わりありませんね。もともとは普通サイズ(?)のおばさんだったんだけど、ある日、目が覚めるとスプーンサイズに縮んでしまっていたのであります。このあたり、何の理由もなく突然からだが小さくなってしまうところがいいですね。こんなお話に、理屈なんかは必要ありません。小さくなったから小さくなったのです。ホントにそうなっちゃったんだからしょうがない。

でもスプーンおばさんのすごいところは、小さくなっても全然あわてないところ。しなきゃいけないことはいっぱいあるのです。掃除や食器洗いや、パンケーキをたくさん焼かなきゃいけないのです。それどころか、スプーンサイズではベッドから降りることもできない。それでもスプーンおばさんはお布団をトンネルのような筒にしてなんとか床に降り、からだが縮んだまま家事を始めます。

お皿はネコに命じてなめさせ、きれいにします。パンケーキには自分からオーブンにはいるように命じます。こんな調子で、スプーンおばさんはまったくあわてることなく、てきぱきと家事をこなしていきます。からだが普通サイズだろうが、スプーンサイズだろうが、その能率にまったく変わりはありません。このあたり、すっとぼけていて笑ってしまいます。

てなわけで、旦那さんが帰ってきたころにはすっかり家事は終わり、パンケーキもすべて焼き上がっています。しかもスプーンおばさんはまたなんの理由もなくもとのサイズに戻り、何事もなかったかのようにふたりで食事をするのでした。ここまで来ると、少しはあわてたらどうだと言いたくなりますが、あわてないところが彼女のキャラクター。たのもしいやら、ほほえましいやら。

スプーンおばさんは小さな女の子のために人形をプレゼントしてあげたりもします。旦那さんとお店にお買い物に行ったときは旦那さんのポケットにおさまり、ちゃっかりコーヒーカップをただでもらったりもします。それからもっとすごいのは、じつはスプーンおばさんはカラスたちの女王でもあるのです。なぜカラスの女王になってしまったのかは読んでからのお楽しみ。

ボクはこれを英語版で読んだので、日本語版の雰囲気がどうなってるのかはわかりません。でもとっても楽しいことには間違いなさそうです。シリーズになっているので、図書館で探して、日本語版も読んでみようかと思っています。小さな子供向けの童話とあなどるなかれ。長年読み継がれてきた名作には、それなりの理由が必ずあるのです。





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