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ガラスの仮面


美内 すずえ


演劇の天才少女北島マヤが、往年の名女優月影千草に見いだされ、宿命のライバル姫川亜弓と競いながら、幻の名作「紅天女」の主役を演じるために苦難の道を歩む演劇根性マンガです。もう20年以上も連載しているという天然記念物的な作品。ご存じの方も多いでしょう。

「花とゆめ」に新連載されたその時、私はリアルタイムで読んでいました。確か新連載2本立てで「ガラスの仮面」と「スケバン刑事」だったように記憶しています。
「椿姫」のチケットをゲットするために異様なまでの頑張りを示すマヤの根性と情熱を描いたのが確か最初。それからマヤの演技の才能は一気に開花して、怒濤の青春が待ちかまえます。

このものすごく長い作品を飽きさせることなく引っぱっていくのは、ひとえに美内すずえの優れたストーリングテリングの力ゆえでしょう。私は密かに彼女は漫画界のシドニー・シェルダンだと思っています。
またマヤが出演する劇中劇の数々が大変面白くて、それだけで立派な作品として成立しそうです。「若草物語」「たけくらべ」「嵐が丘」「奇跡の人」などの既存の作品の演技描写も優れていますが、美内すずえオリジナルの作品(オリジナルなのかな?)はもう一つ面白い。マヤが1人で演じることになる「ジーナと5つの青い壺」、人形役を演じ、人形に残された遺産の行方を描く「石の微笑」(この作品は彼女の昔の「人形の墓」という作品を連想させます)、姫川亜弓と競演した「ふたりの王女」、学校で演じた「女海賊ビアンカ」など、どれも独立した作品として読んで、是非話の結末を知りたいと思ったものでした。これらの中には原作が実在するものもあるのでしょうかねえ。私が知らないだけで。出典をご存じの方は是非教えて下さい。

マヤ以外の登場人物も魅力的です。黒ずくめの月影千草、紫のバラの真澄様、マヤのかつてのBFでありある意味でのパートナー桜小路君、永遠のライバル亜弓さん、劇団つきかげの仲間達に、劇団一角獣の人たち、それからそれから・・・。あ、月影先生に影のように付き添っている執事さん(え?名前何でしたっけ?)も好きです(笑)。悪役もいっぱい登場して、マヤの才能をねたむ輩がいろいろな手で彼女を引きずり下ろそうとする陰謀もいっぱい。これだけ面白さがちりばめられていては、はまるしかないですね(笑)。

さて私のお気に入りですが、今までの傾向から行くと当然真澄様のはずですが、なぜか若き桜小路君です。好感が持てますよね〜。優しくて一途で、年齢的にもマヤに合ってます!これはかつて真澄様が好きな友人がいたために、それに対抗して桜小路君へと傾いていったのではないかと思われます(笑)。
紫のバラの人、真澄さんはマヤの足長おじさんで陰からいつも支えてくれる人。女の子の理想ですね。マヤと年が違いすぎるのが気になりますが、少年時代の暗い過去といい、優しさはオブラートに包んでやり手のビジネスマンとして生きる姿といい、女心をくすぐるお人です。対する桜小路君は真澄さんと比べるとどうにも子供ですが、活きが良い(笑)。早く大人になってね、と願うのみです。
あっ、そう、真澄様の秘書、水城さんは憧れです。知的でよく気が付いて外にはあまり出さない優しさがあって素敵な方です。

貧しくて何かと恵まれないマヤと、大監督と大女優のサラブレッド亜弓さんがライバルというのも、根性ドラマの王道を行っています。でも亜弓さんはプライドの高さもあっていつも真っ正面から勝負を挑むところが良いですね。

さてさて、この大長編、いつ終局を迎えるのでしょうか。


☆月影千草のあの黒いドレス、作者の弁によればクロゼットに同じドレスがどっさり掛かっているそうです。

白泉社花とゆめコミックス、白泉社文庫にて刊行





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