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パパゲーノ


坂田 靖子


坂田靖子ワールドの真骨頂!ほのぼのとさわやかでいて、爽快な笑いが広がる彼女の短編の中でも傑作の一つだと思っています。

パパゲーノは少年の名前です。彼は草と木で出来た小さな家に住んでいます。その家の屋根ではキノコを栽培しています。そこは雨とお天気がちょうどいい具合に混じり合う理想的な場所でした。そこへ見知らぬ少年がやってきて、パパゲーノのキノコを取っていってしまうようになりました。彼は一切悪びれる様子もないのですが、パパゲーノには勿論一大事。パパゲーノのキノコと自分の生活を守る闘いが始まります。

パパゲーノの生活はのんびりのどかで、見ているだけで昼寝をしたくなるようなそよそよした生活です。パパゲーノは至極その生活に満足していて、理想郷になっています。時にはライオン狩りにも出かけ、冒険も怠りません。このライオン狩りが大爆笑!ネタばらしを出来ないのがとても残念ですが、笑いが止まらない設定です。そこへ現れた見知らぬ少年。「♪フィガロ フィガロ フィガロ フィガロ フィーガロ」といつもフィガロの歌を歌いながら、堂々とパパゲーノのキノコをもいでいきます。キノコや豆や魚、パパゲーノの食料を根こそぎ頂いていくとんでもない奴。食料を奪われたパパゲーノには死活問題で、何とか彼からキノコを守ろうとあの手この手に出ます。

人の食料を奪っていくのですから立派な泥棒なのですが、このフィガロ少年、顔の半分を口にしながらフィガロを歌ってばかりいる脳天気さで、ほんの少しも憎めない(笑)。坂田靖子ワールドの愛すべきキャラクター上位に入りそうな人です。どこから来たのかとか、何故人の物を盗むのかとか、何の説明も伏線もなし。口を開けば出てくるのは「♪ラララ フィーガロ ラララ フィーガロ」だけ。もうハチャメチャな世界に笑いが止まらず、頭はウニ状態になり、「♪ラララ フィーガロ」が鳴り続けるという、まれにみる爽快さを味わえるマンガです。それでいて、ほんわりと温かい。

思いっきり楽しく笑って下さい。「フィガロの結婚」を聞きながら読めば面白さ倍増。

☆読み終わった後は絶対「♪フィーガロ」と歌いたくなるので、出かける前には読まないように。


偕成社 ファンタジーコミックスにて刊行






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