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がんばれ!ベアーズ



THE BAD NEWS BEARS

1976年アメリカ映画 パラマウント
 カラー 103分

監督 マイケル・リッチー
出演 ウォルター・マッソー テイタム・オニール
      ビック・モロー ジャッキー・アール・ヘイリー
   ジョイス・バン・パタン


酔いどれ中年男バターメイカーは、プール清掃人として生業を立てていたがかつてはマイナーリーグの選手として活躍した男だった。そんな彼が少年野球チーム、ベアーズのコーチを任される。ところがこのベアーズ、個性豊かな子どもたちが揃っているのは良いがその野球内容たるやあまりにお粗末・・・。到底試合に勝てるはずなどないことを思い知ったバターメイカーは、かつての恋人の娘アマンダを投手にスカウトする。さらにオートバイを乗り回す不良少年ケリーをパワーヒッターとしてスカウト。抜群の投球センスを持つアマンダとケリーのバッティングでチームは躍進していくが・・・。


落ちこぼれチームが大変身、というスポーツ根性もの映画少年少女編の走りではないでしょうか。かつてはそれなりの名声を得たプロ選手、今は酔いどれ中年のただの人、彼が見るのは問題児ばかりの落ちこぼれチーム・・・という今は当たり前の設定ですが、多分当時は斬新だったのでしょう。まして酔いどれおじさんを演じたら天下一品のウォルター・マッソーが主役のバターメイカーを演じるのです。面白くない筈がない。ここに天才子役として一世を風靡したテイタム・オニールが天才少女ピッチャーとして登場。今見るとテイタムが可愛いんですね。敵役のエリートチームのコーチにはビック・モローが扮して嫌味タラタラ。とにかくこのキャスティングだけでも見ていて面白いです。

ベアーズは野球に詳しくない私でもしっかりわかる野球音痴チーム。エリート家庭の少年もいれば記録オタクに肥満少年、やたら喧嘩っぱやい子や極端に大人しい子、さらに人種の坩堝。そこに加入するのがシングルマザー家庭でお金を貯めるのが大好きな少女とバイクを乗り回す不良少年。まあ、率いるのが酔いどれおじさんですから、このコーチにしてこのチームあり、というところでしょうか。でも、このベアーズがチームとして一つにまとまっていく様子がとても微笑ましくて爽やかでちょっと感動してしまうのです。スポーツといえばついつい勝負にこだわって勝つことが大切と思ってしまうのですが、「ああ、本当はスポーツって楽しむものではなかったかしら」って本質に返らせてくれるのです。それに気づいたバターメイカーの放つひと言ひと言は結構重いです。「おまえはベンチを温めるためだけに生まれてきたのか」ってところ。そもそも野球するために生まれてきたわけではないだろうに、と突っ込みを入れつつも今彼らにとっては短い人生の一大事なわけなんですよね。

クライマックスは優勝がかかった大一番。となれば、引っ張って引っ張って色々なドラマがあって・・・とてんこ盛りのラストを期待するわけですが、数々のドラマはあれど呆気ないくらいあっさりしたラスト。ああ、でもスポーツのラストって結構こんな風。火の玉ボールも木の葉落とし(あれ?球技違いね)もないけれど、このあっさりさがとても良いのでした。

全編に流れるビゼーの「カルメン」が、ベアーズの拍子抜けした野球街道にピッタリフィットしていてとても良い感じ。思わず身体が踊り出します。素直に楽しめる文句なしのファミリー映画。野球が好きでも嫌いでも、楽しくてちょっとホロリと来て、ノスタルジーさえ感じてしまうのですね。これはこの時代を知っている者ゆえか?とにかくこの映画は大ヒットして続編も作られて日本遠征までしたし、テレビドラマ化もされましたよね。脚本を書いているのはビル・ランカスター。バートの息子です。映画雑誌の表紙を飾って大人気だったテイタムが輝いていた頃の懐かしい映画。あの頃を覚えている方、是非再見を。


☆少年野球チームのユニフォームはスポンサーを探して作るものらしい。他のチームのユニフォームにはデニーズ、ピザハット、スポンサーの名前がバッチリ。そこはベアーズも一緒なんですが、スポンサーが保釈金融資なところはとっても笑えるのでした。


も一つ☆不良少年ケリー役はジャッキー・アール・ヘイリー。この頃の不良少年って素朴だったのね、と何故かホッとさえしてしまう(苦笑)。同じ頃、「世界が燃えつきる日」でもジャン・マイケル・ビンセントの後ろでバイクに乗っていたような気が・・・。次はケリーが主役なのだ。






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