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THE BIRDS

1963年アメリカ映画 ユニバーサル カラー 120分

監督 アルフレッド・ヒッチコック

出演 ロッド・テーラー ティッピー・ヘドレン
スザンヌ・プレシェット ジェシカ・タンディ ベロニカ・カートライト


お金持ちの令嬢メラニーは、以前顔を合わせて関心を持った相手ミッチを追いかけて海辺の街にやってきた。再会を果たしたのもつかの間、突然鳥の大群が街を、人々を襲い始める・・・。

あまりに有名なヒッチコックのパニックサスペンスです。小学生の時に初めて見ましたが、あの衝撃は強烈でした。普段大空を飛んでいる普通の鳥が集団で突然人間を襲い始めるというプロット。そこに理由なんかない。環境がどうのとか、人間のそれまでの行いがどうのとか、そういったお説教じみたことをすっと超越して、いきなりの襲撃。それが逆に怖かったですね。
またメラニーがミッチの妹に鳥かごに入れた鳥をおみやげに持ってくるという皮肉。これもパンチが効いていました。
このメラニーという女性、いきなりやってきて、ミッチの元恋人の女教師の家に泊めてもらったり、計画性のない困った人です(笑)。鳥の襲撃で彼女のそういった行いが忘れ去られるのでなかったら、ちょっと鼻持ちならない女性かもしれない。

あの有名なベンチに座るメラニーの後ろのジャングルジムにカラスが1羽、また1羽とやってきて、気づいたときには真っ黒け、の場面は本当に怖い。しばらくカラスを見るのが怖かったですね。それにベンチなどに座るときに後ろを気にする習慣が出来ました(笑)。でも彼女、どんなときでも必ずバッグを抱えて逃げるしっかり者でもありました。

たかが鳥と思うなかれ。鋭い嘴の威力を思い知らされる悲劇の連続に、ただただ圧倒され続けました。鳥を馬鹿にする者は鳥に泣く?それに相手は集団です。人間なんて頭でっかちなだけで、何の武器も持たない最も頼りない種なんだって痛感させられます。

スザンヌ・プレシェット演じる女教師は可哀相でした。ミッチのことが好きだったんですよね、今でも。それなのに押し掛けてきたメラニーを泊める羽目になっただけでなく・・・。
ミッチのお母さん役はジェシカ・タンディ。若いと言ってももう中年ですが、この頃からちょっとおすましした感じの品の良さがにじみ出る女性でした。ロッド・テーラーのお母さん役にはちょっと若いですよね、きっと。

原作は「レベッカ」を書いたダフネ・デュ・モーリアの短編です。こちらでは田舎の農場に舞台を取っていて、鳥の襲撃を予感した農夫一家が家に何日も籠城する話です。ですから、映画版は鳥の襲撃という要素だけをもらったオリジナルストーリーと言っても良いでしょう。でも原作もすごく面白い。臨場感があふれています。

多分これが私が見た最初のヒッチコック映画であったのも一因とは思いますが、ヒッチコックというとやっぱり一番に思い出す映画の一つですね。そしてまた、いつものヒッチコック色とはちょっと違った毛色の映画とも思います。日常生活に潜む恐怖をこれだけリアルに描いた演出。とにかく集まるカラスのシーンだけでも彼の監督としての手腕は永遠に語り継がれるでしょう。

☆子供の頃暖炉のある家に憧れていました。暖炉のある家に住んでみたいものだ、と一度は見る夢。・・・でももし宝くじが当たって家を建てることが出来ても、暖炉は作らない。絶対に!暖炉は見て憧れているだけが良い、と教えてくれた映画でもあります。





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