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マイ・ボディガード


MY BODYGUARD


1980年アメリカ カラー 97分

監督 トニー・ビル

出演 クリス・メイクピース アダム・ボールドウィン
マット・ディロン ジェニファー・ビールス


ぱおー。この映画は有名じゃないので知らない人も多いと思いますが、青春映画のなかなかの佳品であります。ボクは「フラッシュ・ゴードン」との同時上映で見たのですが、お目当てだった「フラッシュ・ゴードン」よりもはるかに気に入ってしまいました。

クリフォードは内気な少年。ルックスも冴えないし、たいした才能があるわけでもなし、ちょっとかっこわるい男の子。ダウンタウンの高校に転校するのですが、そこがまた下品な学校で、クラスには手のつけられない不良グループがいるのでした。冴えないクリフォードは彼らに目をつけられ、トイレの便器の中の水を飲まされそうになったりとか、いじめられはじめます。でも、彼らの言うがままにされてばかりはいられません。

そんなとき、クラスにひとり、まったく顔を見せなかったリンダーマンという、体が大きくて強そうで、しかもものすごいこわい顔をした生徒が久しぶりに学校に顔を出しました。クリフォードはリンダーマンにボディガードになってもらおうと思い、彼に接近するのですが、彼はクリフォードを相手にしようとせず、それどころか不良グループよりもこわいくらい。でもなんとか彼に接近することができるようになります。ところが、リンダーマンは無口でいつもこわい顔をしていて、なかなか心を開こうとしません。

実はリンダーマンは1年前のある事故が原因で、自分の心の中に閉じこもっていたのです。決して不良でもなければ、こわいわけでもありません。ただ、深い心の傷が彼を恐ろしげに、無口に見せていただけなのです。クリフォードとの交流を通じて、リンダーマンはしだいに心を開いていきます。非力で内気なクリフォードと、こわもてのするリンダーマンの好対照。二人はやがて友情で結ばれ、リンダーマンは心の傷を乗り越えていくのでした。

ストーリー自体もすごくさわやかでよかったのですが、この映画でボクが気に入ったのは、リンダーマンを演じたアダム・ボールドウィン。最初はやたらでかくてぬぼうっとした印象だったのですが、すごくいい俳優だと思いました。その後、キューブリックの「フルメタル・ジャケット」の準主役に抜擢されてちょっと崩れた感じの兵士を好演し、さらに「インデペンデンス・デイ」では軍服の似合う、颯爽とした軍人を演じました。背が高くてかっこよくて、そんなにハンサムじゃないけどものすごく好感の持てる顔で、しかも表情がとてもいい。まさに男が惚れる男でしょう。だから、彼にはくだらない映画には出てほしくない。「ワイアット・アープ」は許すとしても、「プレデター2」には出てほしくなかったなあ。「キルトに綴る愛」なんて、意外な映画にも出てるけど。

それから、不良グループのリーダーを演じるのは「アウトサイダー」でブレイクする前のマット・ディロン。いかにもといった感じの配役ではありますが、彼もまたいやな役を好演していました。そういえば、「フラッシュダンス」が大ヒットする前のジェニファー・ビールスも出てるなあ。印象に残ってないけど。

監督さんはあの「スティング」を製作した人です。監督作としてはほかに「忘れられない人」などがあります。こうして見ると、この監督さんは俳優の演技力の引き出し方がうまいと感じさせられます。「忘れられない人」でも、あの問題児のクリスチャン・スレーターに無口な好青年をやらせたくらいですから。

製作のドン・デブリンは、「インデペンデンス・デイ」や「ゴジラ」を製作したディーン・デブリンのお父さん。ディーン・デブリン自身も、俳優としてこの映画に出ています。むむむ。若いころはこんなことをしていたのか。



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