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チキ・チキ・バン・バン



Chitty Chitty Bang Bang
1968年イギリス映画 カラー 146分

監督 ケン・ヒューズ
出演 ディック・バン・ダイク サリー・アン・ホーズ
ライオネル・ジェフリーズ ゲルト・フレーベ アンナ・クエイル


発明家カラクタカス・ポッツと二人の子供、そしてお菓子工場の娘トゥルーリーがチキ・チキ・バン・バン号に乗って、水の上を走り、空を飛び、悪いバロンと闘い、奇想天外な冒険を繰り広げる壮大なファンタジーです。

 しかし、この映画決してただの子供向けのお伽話ではありませんのよ。原作は007シリーズのイアン・フレミング、脚本が児童文学などで名高いロアルド・ダール、音楽は「メリー・ポピンズ」などのシャーマン兄弟と一流どころを揃えているのです。主題歌「チキ・チキ・バン・バン」をはじめ、私のお気に入り「トゥルーリー・スクランプシャス」など曲はどれをとっても踊りたくなるような楽しさ、あるいは心和む美しさがあります。

 そしてディック・バン・ダイク!我が家ではフレッド・アステアやジーン・ケリーを押さえて最高のミュージカルダンサーとしての評価を与えられている彼の芸の神髄が発揮されています。竹の棒を使って踊るバンブーダンスは是非御覧あそばせ。感涙ですわよ。

 トゥルーリー役サリー・アン・ホーズも「マイ・フェア・レディ」や「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台を務めたというだけあって、どこかジュリー・アンドリュースに似た透き通った美しい歌声を披露しています。白いヒラヒラのロングドレスにお揃いの白い帽子、と女心をくすぐるロマンティックさも忘れてないんですよね。

 脚本がロアルド・ダールだけにお菓子ネタが満載で、冒険もどこかシュールです。自動散髪機なんて彼ならではの発明ですし、バロンとバロネスの熱い愛の掛け合い(!?)の歌「チュ・チ・フェイス」なんてしばらく笑いが止まりませんことよ。

 見終わったあと爽快さを感じることは保証付きです。そして「バン・バン・チキ・チキ・バン・バン走れ速く」と子供の頃聞いたあの歌を口ずさむでしょう。空を飛ばない普通の車では飽き足らなくなるかもしれませんわね。

☆そしてカラクタカス・ポッツはトルーディと結婚してお菓子工場の主人になり、ウィリー・ワンカと改名してチョコレートを売り出しましたとさ(笑)。



一見、清く正しいこどもむけミュージカルと思うでしょう? ところがところが。全然そうじゃないんだよね。清く正しいのはトゥルーリーとポッツさんのふたりのこどもだけ。あとのおとなたちはみんなぶっとんでんの。

 つまりこの映画は、ぶっとんだおとなたちに清く正しい子どもたちが振りまわされるお話。いちばんぶっとんでんのはポッツさんだけど、バロンとバロネスもものすごくぶっとんでる。「チュ・チ・フェイス」の歌のシーンで、ボクは笑い死にしそうになりました。バロンがバロネスを床の落としとびらから落としたあとのシーンを見てごらん。無垢なバロネスとすっとぼけたバロンがスキップして踊るシーンを平気な顔してみていられる人がこの世にどれだけいるだろうか。

 脚本書いてるロアルド・ダール本人がぶっとんでるからね。いたずらっこがそのままおとなになって小説書いてるようなもんだったんだから。彼の児童書はほんとはこどもが読んじゃだめなんだよ。教育上よろしくないことばかり書いてあるからね。

 むかしの映画だからって敬遠しないで、見てごらんよ。いまの映画が負けそうなくらいぶっとんでてふざけまくってるから。

 ちなみにバロネスは上品な役どころのはずなのに、どう見てもそのへんの顔グロやまんばみたいなキャラクターなんだけどなあ。すっとぼけた顔がまたたまんなくおかしい。






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