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ぼくの神さま



EDGES OF THE LORD

2001年アメリカ映画
カラー 98分
 
監督 ユレク・ボガエヴィッチ

出演 ハーレイ・ジョエル・オスメント ウィレム・デフォー
 リチャード・バネル リアム・ヘス
   オラフ・ルバスゼンコ


1942年、ナチス占領下のポーランド。11歳のユダヤ人の少年ロメックは、両親と離れ田舎の知り合いのグニチオの元に送られる。ナチのユダヤ人迫害が強くなってきたことを苦慮した両親が、ロメックだけでも無事にと仲間に頼んで密かに送り出したのだった。親戚の子だという触れ込みの元、ロメックはグニチオ一家と暮らし始める。一家にはグニチオの妻と、ヴラデックとトロの兄弟がいた。ヴラデックは、年が近いこともありロメックに敵対心を抱く。村の神父は、ロメックをはじめ聖体拝領前の子どもたちを集め、宗教について教える。ユダヤ人のロメックのことも神父は平等に扱うのだった。田舎の村にもナチスの影は大きく落とされている。遊び仲間のマリアの両親はナチスに殺され、近所の老夫婦も豚を飼っていた罪で殺される。そして、グニチオの隣人は何かとロメックのことを疑うのだった。


ポーランドは長い間にわたって他国に蹂躙された歴史を持っている悲しい国です。そのポーランドが、またもや悲劇の舞台になったのが第2次大戦。ナチスのユダヤ人迫害が続く中で、田舎に避難してきたユダヤ人の少年が出会う様々な出来事を描くドラマです。冒頭、ロメックをクロゼットの中に隠し、カトリックの教義を教え込み、ジャガイモ袋に詰めてでも無事に生き延びさせようとする両親の心情が痛いほど迫ります。そして、舞台は田舎の村へ。緑の草原と青い空が広がる平和そうな地ですが、ここも戦争とは無縁ではなかったのでした。ユダヤ人を匿うことが禁止されているように、豚を飼うことも禁止されている。豚を飼っていたというだけで虫けらのように射殺されていく人々。ナチに無理難題をつきつけられ、地を這い回りながらも阻止しようとする神父の慟哭があまりに痛ましいのでした。

そんなきな臭い世界で、子どもたちは遊び回ります。特にトロは神の教えに大きな影響を受け、神の世界を実体験しようとさえします。子どもたちの世界が純粋で美しいなどとは言いませぬ。子どもたちが関わる「汽車」など、何とも生々しくて遊びなどと言えるものではありません。純粋で生きていけるような世の中ではないのです。最初は都会でお坊ちゃん育ちだったロメックも、実世界の過酷な現実の数々を見せつけられます。生きるために、両親が願ったように生き残るために、ロメックは泣きながらも辛い選択をせざるを得ません。その心情や如何に・・・。ハーレイ・ジョエル・オスメント君の切ない熱演が光る場面です。ハーレイ君だけじゃなくて、子役たちがとても良いです。ガキ大将タイプのヴラデック。心優しいトロ。紅一点のマリア。目の前で悲劇を見ても、悲鳴をあげるでもなくただ受け入れて流していく悲しさ、よく言えば対応力。トロだけはまだ幼くて、完全にはその対応力を持たなかった、ということなのでしょうか。

危険と知りつつロデックをかくまい続けるグニチオもとても良いキャラクターであります。そして、最初は神父さん役?!と驚いてしまったウィレム・デフォーも、ちょっと型破りな神父さんでなかなか良いキャラクターなのでした。「EDGES OF THE LORD」という原題が見事に生きるラストでした。


☆何で豚は飼ってはいけないんだろう。鶏なら良いんだろうか・・・。






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