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邂逅



LOVE AFFAIR


1939年アメリカ映画  RKO
白黒 87分

監督 レオ・マッケリー
出演 アイリーン・ダン シャルル・ボワイエ 
   マリア・オースペンスカヤ リー・ボウマン


海上を旅する豪華客船の中で出会った名うてのプレーボーイのミシェル・マルネーと歌手のテリー・マッケイ。互いに婚約者や恋人がいる身でありながら、船の中で顔を合わせるうちに二人はどうにもならない力で惹かれあっていく。船を下りる前にミシェルはテリーに愛を打ち明ける。自分は今まで働いたことがなかった。半年時間の余裕を与えて欲しい。その間に仕事を見つけて、生活の目安をつける、そうしたら結婚しよう・・・と。二人は、半年後にエンパイアステートビルの展望室で会う約束をして別れていく。半年の間に二人はそれぞれの生活を精算し、新しい生活に向けての準備を着々と進めていた。そして、約束の日が来た・・・。


どこかで聞いた話、とお思いでしょう。今やリメイク作品の方が有名になってしまいましたが、57年にケーリー・グラントとデボラ・カーで作られたメロドラマの王道「めぐり逢い」のオリジナルです。この「邂逅」を撮ったレオ・マッケリー監督がこの題材が気に入っていて、再び自らの手でリメイクしたのが「めぐり逢い」というわけです。

華やかなカラーで映し出される「めぐり逢い」の世界に目が慣れてしまっている私としてはちょっと地味に感じましたが、でもさすがオリジナルだけあってなかなか秀逸な作品です。いや、オリジナル映画をまずリメイクありきみたいに語ることが間違っていますね・・・。どうしても、リメイクにはまった身としては比べてしまうのでご容赦下さい。

39年という年を考えると、何とまあ豪華な船旅だったのだろう、と思います。いや、30年代だからこそ船旅の価値があると言うべきでしょうか。ミシェルとテリーの出逢いと惹かれていく過程、それから二人の再会の日までの過程の描き方がちょっと物足りない感じがするのは87分という短い上映時間に納めているからだと思います。

シャルル・ボワイエはやはり30年代の伊達男No.1だったのでしょうね。遊び人の感じが実にぴったり出ています。アイリーン・ダンは実力派の女優として有名でした。ちょっとチャキチャキした感じが面白い人です。

リメイクでも素敵だったのですが、この映画ではミシェルの祖母を訪ねるシーンが3つのリメイク作品中(90年代のウォーレン・ビューティ版も含めて)一番素敵に感じました。島の様子も綺麗な庭も白黒ですから、色彩として現れないのにそれでも何とも言えない違う世界の雰囲気をうまく醸し出しているのですね。そして、祖母役のマリア・オースペンスカヤの枯れた演技が素晴らしかったです。小柄な体格、ちょっと震える手足、でも生来の品の良さと優雅さにあふれた何とも高貴でありながら優しい老婦人としてとても素晴らしい演技でした。「愛のよろこび」をピアノで奏でるシーン、フランスなまりの英語など、細部まで凝った演技の数々が何とも言えない重みと品をこの作品に与えてくれています。このシーンだけでも見る価値ありです。

またこの映画ではテリーがクラブで歌ったり、祖母のピアノに合わせて歌ったり、子供たちと合唱したり、と歌のシーンがいっぱいで、ミュージカル風の味わいもあります。アイリーン・ダンが自分で歌っているのかどうかはわかりませんが、とにかく透き通る歌声に思わず聞き惚れます。

筋もすっかりわかっていて、全くメロドラマの王道だとわかってはいても、やっぱり泣けてしまうラストなのでした。この際、3作品全て見比べてみてください。一番気に入られるのはどれでしょうか。


☆ミシェルって職業がプレーボーイなんだろうか?仕事をしたことないと言うが、一体どうやって暮らしていたんだろう。親の財産があるとか何とかいう話はしないし、つまりはお金持ちの女性に貢いでもらっていたってことだろうか?







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