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ある愛の詩



LOVE STORY


1970年アメリカ映画 パラマウント
カラー  100分

監督 アーサー・ヒラー
出演 ライアン・オニール アリ・マッグロー 
レイ・ミランド ジョン・マーリー


ハーバードの学生で大富豪の息子オリバー・バレットは、資料を探しに来たラドクリフ大学の図書館で魅力的な女性に出会う。彼女の名前はジェニー。オリバーの出場するアイスホッケーの試合で、雪の公園で、逢瀬を重ねるうちに2人は深い恋に落ちる。結婚を決意する2人だったが、大富豪の息子とパン屋の娘ではあまりに身分が違い過ぎた。オリバーの父親の反対にあってオリバーは父親と絶縁。2人は手作りの結婚式を挙げる。経済援助をうち切られたオリバーは苦学しながらハーバードのロースクールに通い、やがて優秀な成績で卒業し、法律事務所に勤務し始める。2人はニューヨークに移り、より幸せな新しい生活を始めた。そんな折、ジェニーが病気にかかっていることがわかって・・・。


冒頭、オリバーが誰もいないスケートリンクに座って語り始めます。「ジェニーが愛したものは、モーツァルトとバッハ、ビートルズ、そして僕・・・」。そこにかぶさるあのフランシス・レイの名曲。それだけで泣けてきます。これは恋愛映画の王道を行く名作であることは間違いないでしょう。

オリバーとジェニーが恋に落ちていく過程は実にあっさりと描かれています。物足りないようでもありますが、最近のやたら長い映画を見ていると、スピーディな展開が逆に新鮮でさえあります。2人にとって大切なのは、恋に落ちた過程ではなく、その後の生活なのですから。

オリバー・バレット4世は、父親に劣等感を抱いていて2人の仲は何かとうまくいきません。ジェニーを連れて初めてバレット家を訪ねる時の様子が壮観。門を入ってから延々と玄関まで走り続ける車。バレット家の豪邸ぶりには度肝を抜かれたものです。

2人の結婚式も素敵でした。ごく親しい人だけ招いて、それぞれが好きな詩を読んで誓いの言葉とする結婚式。男性も女性も対等で、従うとかそういった言葉は一切なし。寧ろ、オリバーの方が「君に僕の持っている全てをあげる」と言います。さすが、女性の権利が強くなってきた70年代だけあります。

私の好きなシーンの一つはクリスマスシーン。オリバーが学費稼ぎにクリスマスツリー売りのバイトをしているところです。初めてこの映画を見たのは小学生の頃か、中学生だったか・・・。アメリカでは大きなツリーをああやって、戸外で集めて売っているのだ!と、知った瞬間でした。マダムにあのツリー、このツリーと右往左往させられるオリバーが笑えます。そして、そこにかかる「Joy to the World」。あれ?「『もろびとこぞりて』ってこういう歌だったの?」と知った時でもありました。

2人で協力して辛い時期を乗り切ったあと、オリバーの前には法律家としての未来が開けます。もう貧乏ともさよなら出来そう。新しい綺麗なアパートに引っ越してこれから、という時にジェニーが不治の病にかかっていることがわかります。それを知ってからのオリバーの嘆きが辛いですね。そして、同時に病気を知ってしまったジェニーの強さも凄い。自分の悲劇にこもることなく、あとに残るオリバーや父親のことを心配するジェニー。「悲嘆にくれて君を困らせないとジェニーに約束した」と語るジェニーの父親の姿にも涙。

一面の雪景色。フランシス・レイの甘美なテーマ。この年のクリスマスはオリバーにはたまらなく淋しいクリスマスだったでしょう。でも、ジェニーと出会えたことは彼にも幸せだったはず。あの出逢いがあったから、今のオリバーがある。その先に何が待っていたとしても、「愛とは決して後悔しないこと」だから。

今年(去年だったかも?)のアカデミー賞に、ライアン・オニールとアリ・マッグローのコンビがプレゼンターとして登場しました。30年以上を経た2人はさすがに年を取っていましたが、並んで立つ姿はやはりあのオリバーとジェニーを思い出さずにはいられません。今、何とライアン・オニールは白血病で苦しんでいると聞きます。彼がジェニーのようにならないように、回復を祈るのみです。


☆ハーバードの寮仲間で若き日のトミー・リー・ジョーンズが出ています。そう言えば、彼自身ハーバードの学生でしたね。おまけにゴア元副大統領のルームメイトでした。






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