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ムッソリーニとお茶を



TEA WITH MUSSOLINI

1998年イタリア・イギリス映画
カラー 114分
 
監督 フランコ・ゼフィレッリ

出演 シェール ジュディ・デンチ ジョーン・プローライト
   マギー・スミス リリー・トムリン 
チャールズ・ルーカス


1935年、イタリアのフィレンツェ。芸術の都に集うイギリスやアメリカの女性たちがいた。その一人、メアリーがイタリア人の子供ルカを引き取ることになり、ルカは個性豊かなご婦人たちに囲まれて、過ごすことになる。しかし、平和だった街は次第にファシストたちに浸食されていく・・・。


レディ・ヘスターは、かつての大使夫人。名士だった夫が亡くなった後もフィレンツェにとどまり、外国女性のリーダー的存在として君臨しています。ムッソリーニと一緒にお茶を飲んだことが自慢で、彼を紳士だと信じる、頑固であくまで自分の基準で物を考える、まあ典型的なイギリス婦人。大使夫人として外交を見てきた筈なのに、いや良い時代を生きてしまったからこそなのかもしれないけれど、ちょっとどこかピントがずれた感覚と偏見の持ち主であることは否めません。演じるのは、マギー・スミスですが、その頑固さが如何にも彼女らしい役です。

のどかな時代を過ぎ、イタリアには一気にファシズムが台頭してきます。婦人たちの平和な生活にもやがて終わりがやってきて、彼女たちは古い施設に収容され不自由な暮らしを強いられることになります。

レディ・ヘスターから下品なアメリカ人として軽蔑されるお金持ちのエルサ。派手やかで恋多き女性。シェールが演じます。

芸術家になれなかったジュディ・デンチ演じるアラベラは、自分が描けなかった物たちを愛し、芸術の都でそれらを守ることに専心します。

男装と言っては大げさだけれど、ズボン姿でちゃきちゃき動くジョージーには、リリー・トムリン。

ルカの母親代わりになるメアリーは、懐の深い婦人で愛と善意を公平に理解出来る人。ジョーン・プローライトが温かみある表情で演じています。

彼女たちベテラン女優の、演技のアンサンブルは見事の一語につきます。悪く言ってしまえば、現実や政治情勢などが見えていないおばさま方なのですが、魅力あるご婦人であることも事実。大事なことは、4時のお茶とそれぞれの身分に合った扱いと、レディに対する敬意と、人によっては芸術であり、犬であり・・・とまあ、迫り来る戦火の中を何だかちょっとずれながら生きていくご婦人たちの、愛すべき人生賛歌であります。頑固なマギー・スミスやエキセントリックなジュディ・デンチ、本当に巧いですが、ふんわりした温かさを感じさせるジョーン・プローライトが今回は出色かな。


☆小さい時も可愛かったけれど、ティーンになったルカがこれまた可愛いのです。






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