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日曜はダメよ



NEVER ON SUNDAY


1960年ギリシャ・アメリカ合作映画
白黒 92分

監督 ジュールス・ダッシン
出演 メリナ・メルクーリ ジュールス・ダッシン
ジョージ・ファウンダース


ギリシャの港町ピレウスを訪れたアメリカ人の作家でありアマチュアの哲学者を自称するホーマー・スレイスは、そこで自由奔放に生きる娼婦のイリヤに出逢う。イリヤに惹かれた彼は、彼女に今の生活から抜け出すべくさまざまな教育を受けさせようとする・・・。


オープニングタイトルにかぶる4人の女性がカッカッとヒールを鳴らして(鳴らすところは聞こえないけれど鳴っているに違いないと思わせる)歩くシーンがとても印象的です。最初からただ者ではないなと思わせる映画ですね。

イリヤは活き活きとした女性で、みんなの人気者。美人でパワフルで自由奔放で自分の信念を大切にする(まあ良く言うとこうなるということで・・・)人です。そんな彼女に出逢ったアメリカ人のホーマー。自称アマチュア哲学者であり、作家でもあるようで一体何が本職だか良くわからない人ですが、両親が遙かギリシャに思いを馳せてホーマーと名前をつけたこともあって、DNAにギリシャが植え付けられているような人です。彼はイリヤの中に「探求のシンボル」を見つけ、古代ギリシャの謎を解くために(!)イリヤに何かとまとわりつきます。

イリヤはとても面白い女性です。ギリシャ悲劇を毎週見に行くことを愉しみにしていて、おまけにそのギリシャ悲劇を自分勝手に好きなように解釈して喜んでいます。かと思うと、5カ国語を操るという才女ぶりも発揮して、付き合えば付き合うほど新しい発見がある女性。その楽しい性格もあって男性の間でもマドンナ的存在になっています。そんなイリヤを今の生活から引き上げるべく、ホーマーは彼女に現代的教養を身につけさせようと色々講義を始めます。言ってみれば、ギリシャ版「ピグマリオン」もしくは「マイ・フェア・レディ」。

とにかくメリナ・メルクーリが魅力を爆発させています。娼婦役なのですが、ちょっと知的なムードさえ醸し出していて、かといえば弾ける大胆さもあって、何ともはやパワフル、パワフル。彼女はこの演技でカンヌ映画祭の主演女優賞を受賞しました。そして世界に名をとどろかせるギリシャのトップ女優に躍り出たのです。この映画の監督であり、ホーマー役を演じたジュールス・ダッシンとは当時恋人でのち結婚しました。
メリナ・メルクーリはその後も女優として活躍しましたが、67年には軍事政権に反対したために市民権を剥奪されフランスに亡命。74年には民政復帰で帰国。その後議員に当選し、80年には文化相に就任したという波瀾万丈の人生を送った人です。

そんな彼女が最も活き活きしていた頃の映画。あのテーマ音楽も大変有名ですね。あの曲が聞こえてくると思わず踊り出したくなってきます。

知識は豊富でも恋には不器用なホーマーと、バイタリティの塊のようなイリヤと仲間の女性たち。ギリシャ悲劇を毎週上演している文化が根ざしたギリシャの地も素敵です。






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