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ペーパー・チェイス



THE PAPER CHASE

1973年アメリカ映画20世紀フォックス
カラー 112分
 
監督 ジェームズ・ブリッジス

出演 ティモシー・ボトムス リンゼイ・ワグナー
  ジョン・ハウスマン グレアム・ベッケル
 エドワード・ハーマン ジェームズ・ホートン
 クレイグ・リチャード・ネルソン


ハーバードのロースクール1年生のハートは授業の初日から、鬼教授として名高いキングスフィールド教授の授業で憔悴してしまう。寮では同じロースクール1年の仲間と勉強会を結成して勉強、また勉強。そんなハートの息抜きはガールフレンドのスーザンと過ごすひとときだった。授業でも次第に優秀な者とそうでない者との差が如実になってくる。授業、そしてテストでの生き残りをかけてハートはひたすら勉学に打ち込むが・・・。


アメリカ中の超エリートたちが集まってくるハーバードロースクール。その中での日々を描いた一風変わった青春映画です。何故一風変わっているかというと、彼らの毎日は勉強、また勉強。恋もすれば友情らしきものも育むものの、基本的にとにかく勉強の日々なのです。寮でも彼らは勉強会の仲間を集めます。その中で役割分担して授業のノートをまとめる。学校に行けば、凄腕の教授たちに絞りに絞られる日々。記憶力だけは天才的という生徒がいて、法令などは相当覚えているのですが、自分で考えることを求める教授のやり方にあっという間に追いつめられていく様子が見ていて哀れでさえありました。主人公のハートも特に鬼教授として有名なキングスフィールドに最初の授業からやりこめられて不安のうちに学校生活をスタートすることになります。授業をこなすうちにクラスは3つに分裂していきます。先生の言うことにすぐに反応出来るエリートグループ。もう半ば授業を投げてしまった落ちこぼれグループ。そして、そのどちらでもなくでもいつかそのどちらかに分類されるようになるであろう中間派グループ。ハートもしばらくその中間派にいて、悶々とした日々を送りますが、やがて彼はエリートグループへの脱皮を図り成功して授業にもより積極性が出てきます。そして気になるキングスフィールドととんでもない関わりを持つことになってしまい・・・。

エリートたちの争いは熾烈です。人に親切にしている余裕などはっきり言ってありません。時の経過と共に彼らの地位にも差が出てきて、落ちこぼれた者を省みる余裕もその気さえも彼らにはないのです。そうでもしなければ今度は自分がクラスを後にすることになってしまうから・・・。そんなクラスメートたちの中でハートはその名の通り(?)かなり親切であり人の身になって考えられる方と言えるでしょう。そんな彼にしてもやはり自分が一番大事。恋人のスーザンは彼にとって癒しでもあると同時に、時には勉強の支障にもなってしまうところが悩みの種だったりします。教授との駆け引きも見ていて実に面白い。さすが、弁護士の卵です。

スポ根ものなら、流れる汗に努力の尊さと美しさを感じるところでしょう。この映画では振り乱した髪の毛と、散らかった教科書やレポートに努力の尊さを感じます。こんなに勉強したことってない・・・と思わず恥ずかしくなってしまうほどの彼らの努力。やがて、「ああ、私も一度で良いからこんなに勉強すれば良かった」と何故か後悔までしてしまうのです。とにかく先生が先生なら生徒も生徒。一筋縄ではいかない連中の、一筋縄ではいかない、ど根性勉強記です。勉強ばっかりしている映画なのにとにかく面白い!ティモシー・ボトムスの正義感ぶっているようでちょっと違うような時々ちょっとつかみ所がなくなってしまうハートが妙に良いし、鬼教授ジョン・ハウスマンの表情一つ変えない演技も圧巻。ジョン・ハウスマンはこの映画でアカデミー助演男優賞を受賞しています。見て損はないこれも青春映画の佳作です。


☆いよいよ最後の試練の進級テスト前の寮の大騒ぎぶりがとにかく面白い。そこから抜け出したハートが行き着く先は?!






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