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パピヨン



Papillon

1973年フランス・アメリカ映画
 カラー 151分
 
監督 フランクリン・J・シャフナー
出演 スティーブ・マックイーン ダスティン・ホフマン
 ビクター・ジョリー ドン・ゴードン
   アンソニー・ゼアビ ロバート・デマン


1900年代前半、フランス領ギアナにあるサン・ローラン刑務所にパピヨンという名の男が送られてきた。彼は殺人犯とされていたが、本人は無罪を主張している。一緒に送られた仲間に、紙幣偽造で捕まったルイ・ドガがいた。お金持ちのドガは、その所持金を常に狙われている。それを知ったパピヨンは、ドガのボディガードを買って出て、代償として、脱走のためにお金を出すことを提案する。


悪名高き流刑地、悪魔島を舞台に展開する脱獄ものであり、また男の友情物語でもあります。パピヨンは無実の罪で流刑されます。しかし、どんなところでも物を言うのはお金。そのお金を持っているがために狙われるドガのボディガードを買って出たパピヨンは、ドガのお金の恩恵を受けると同時にトラブルにも巻き込まれてしまいます。沼地での重労働、刑務所の劣悪な環境・・・しかし、収容者にとって最も辛いのは独房に入れられることでした。パピヨンは、太陽の光を見ることもなく、他の人とほとんどしゃべることもなく、食べ物さえもロクに与えられず長い年月を過ごします。仲間の名前を告げさえすれば、もっと食事を与えられると言われ、どんなに口の堅いパピヨンの心もさすがに揺れます。この延々と続く独房のシーンは、大変生々しく痛ましく、それでいてパピヨンの凄まじいまでの生への執着に胸が熱くなります。

自分が生きるだけで精一杯だけの世界で、人のことなど考えていられなくても不思議ではないのに、何故か囚人仲間は結構仲間意識が強いらしいです。脱獄するとなれば、みんなで力を合わせて見事なハーモニーを見せてくれます。ドガは、パピヨンに対する恩義を決して忘れず彼なりの精一杯の方法で助け続けますし、パピヨンもドガに感じる友情を何よりも大切にします。でも、それでもパピヨンはどこか孤高の人。格好は汚いけれど、男が惚れる男。男の美学を見事に表した映画なのだと思います。

巧く立ち回って現在の生活を少しでも快適にして生きていこうとするドガと、自由への思いをあくまで忘れないパピヨン。全く違う二人の生き方のどちらに共感するでしょうか。
有名な「パピヨンのテーマ」は、もの悲しくて美しくて、ぐっと心に響きます。綺麗という言葉にはほど遠い映画なのですが、テーマ音楽だけはとても綺麗。このアンバランスさが逆に心に残るのかもしれません。


☆あの島の、あの少しだけ訪れるのどかな生活。果たして現地の人たちは突然どこへ?






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