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高慢と偏見



PRIDE AND PREJUDICE

1940年アメリカ映画
白黒 118分

監督 ロバート・Z・レオナード
出演 グリア・ガースン ローレンス・オリヴィエ
モーリン・オサリバン メアリー・ボーランド
エドマンド・グウェン アン・ラザフォード
ブルース・レスター エドナ・メイ・オリバー


イングランドの田舎町。5人の年頃の娘を持つベネット家の近くに、結構な収入があり独身のミスター・ビングリーがやってくる。息子のいないベネット家では当主亡き後は従兄のミスター・コリンズに財産がわたってしまうために、ミセス・ベネットは娘たちに良縁をつかませようと躍起になる。長女のジェーンはミスター・ビングリーと親しくなり、彼の親友のやはりお金持ちのミスター・ダーシーは次女のエリザベスと親しくなるが、ミスター・ダーシーの高慢な態度がエリザベスは我慢ならない。


ジェーン・オースティンの代表作の映画化です。この原作は大好きです。最初はただのラブロマンスかと思って読んだらこれが面白い!読み始めたらやめられなくなってしまった小説の一つでした。最近ではBBC製作のミニ・シリーズがとても良質の出来でますますはまってしまったこの話。この映画は40年の製作ということもあってか日本未公開でしたが、映像化の元祖と言えるのではないでしょうか。

ベネット家には年頃の5人の娘がいます。美人姉妹で有名ではありますが、真ん中のメアリーは調子っぱずれの歌を平気で歌うちょっとずれた娘だし、下の二人キティとリディアは兵士と見ればすり寄っていく騒々しくてちょっと軽い娘たち。長女のジェーンと次女のエリザベスはまあ世間的基準から見ればレディと言える女性でありましょう。この娘にこの母ありで、ミセス・ベネットもこれまた娘に負けないほど世のレディたちが顔をしかめるようなお方。そんな家族に時には赤面しながらエリザベス(リジー)は暮らしておりました。そんな時に降ってわいたようにやってきたお金持ちの二人の青年ミスター・ビングリーとミスター・ダーシー。ミセス・ベネットの策略も効いて二人はジェーンとリジーに関心を持った様子。しかし、リジーの方はお金持ちを鼻にかける尊大なミスター・ダーシーにどうしてもつっけんどんな態度を取ってしまうのです。娘たちと青年たちの華やかで駆け引きたっぷりの恋愛模様をとても面白く綴って見たらもうやめられなくなること請け合い。

リジー役には当時のインテリ美女として有名だったグリア・ガースン。リジーにはちょっとお年が・・・という気はするものの雰囲気としては凄く合っています。ミスター・ダーシー役のローレンス・オリヴィエはもうぴったりです。つんとすましてちょっと尊大そうなところといい、「高慢」を演じさせたらさすがにうまい。長女役には「ターザン」の恋人ジェーンを演じていたモーリン・オサリバン。今ではミア・ファローの母といった方が有名でしょうか。そういえばまたもや役柄はジェーン。ジェーンはただ可愛いだけの人ではなくもうちょっと深く描いて欲しかった気がします。他にも姉妹の父親には「三十四丁目の奇蹟」のサンタクロースのエドマンド・グウェン。ベネット家の末娘リディアを演じているのは、「風と共に去りぬ」でスカーレットの末の妹キャリーンを演じていたアン・ラザフォードです。何とも豪華なキャストが揃ったものです。

しばらく前に次々と映像化されたジェーン・オースティンの作品とは年代設定が違うのでしょうか。おなじみのあのジョゼフィーヌ時代以降のドレスとは違って、リボンにフリルにレースと飾りがいっぱいのドレスのオンパレードです。そこがちょっと違和感を感じてしまうのですが、この出演者の顔ぶれならそんなことも許せてしまいます。約二時間にまとめてあるために、説明不足で物足りない面は多々あるもののそれでも原作の感じはしっかり読みとることが出来ます。
それにしても、息子がいなければ親族の男子に財産が全ていってしまうというのは、一体どういう法律なんでしょうね。ミセス・ベネットの焦りもわかるというものです。女性は可愛いければ良いという時代。女性に求められるのは美しさと従順だったのでしょう。そんな時代に才気あふれる知的なリジーのような娘は新鮮と言えば新鮮、型破りと言えば型破り。物怖じせずに自分の意見をはっきり言う彼女の姿は私にはとても好ましく思えますが。

時代は違っても男性と女性。あの手この手で関心を引き、時には意地を張り合い、惹かれながらも反発しあう、そんな心の機微を見事に紡ぎ出した物語です。


☆いくら娘を結婚させたいからって、雨に濡れて肺炎になってもしものことがあったらどうするの?と心配してしまうのですが。






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