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U−571



2000年 アメリカ映画 カラー 116分

監督 ジョナサン・モストウ

出演 マシュー・マコノヒー ビル・パクストン
ハーベイ・カイテル ジョン・ボン・ジョヴィ
デビッド・キース ジェイク・ウェバー


第2次大戦中。タイラー大尉はアメリカ潜水艦の副長を務めていて、艦長に昇格する願いが却下されて意気消沈していた。そんな折、タイラーの乗務する潜水艦に特殊命令が下る。ドイツ潜水艦Uボートが持っている暗号機エニグマを奪取するというものだった。タイラーたちはドイツ軍に化けて、Uボートを襲撃しエニグマ奪取に成功する。アメリカ艦に帰艦しようとしたその時、アメリカ艦は魚雷を受けて沈没する。タイラーたち生き残った乗員は、Uボートに乗り込み帰還を目指すが・・・。

「潜水艦映画に駄作なし」というのは映画界で良く使われる言葉です。過去の潜水艦映画を思い出しても、「眼下の敵」「Uボート」「クリムゾン・タイド」など程度の差こそあれ、良く出来た作品が揃っています。この映画もその伝統に漏れず、大変手に汗握る面白い作品でした。

何故潜水艦映画に駄作はないのか? 潜水艦という閉鎖空間の中で、様々な人間がひしめき生死をかけた駆け引きが行われるゆえに、当然緊迫感は高まろうというもの。どこにも逃げ場はない。敵と直接顔を合わせるわけでもない。でも、一つの判断ミスが艦を撃沈させる・・・。極限状態に置かれた男たちが、その人間性を試される場ともなるのです。

この映画の面白い点の一つは、敵兵に化けてUボートに乗り込む設定です。前述の通り、潜水艦乗組員は多くは敵と直接顔を合わせることがないのですが、ここでは自ら特殊任務の為に敵艦に乗り込んでいきます。そして、あろうことか敵艦をそのまま乗っ取って航海を続けることになるのです。当然ドイツ語はわからないし、ドイツ語のわかる人があちらこちらで翻訳しながらの右往左往の操作が始まります。

魚雷などの派手な発射シーンの一方では、爆雷が落ちてくる中時折ひそひそ話を交わすのみで、後は静まり返ったシーンが続くのも潜水艦映画の面白さの一つでしょう。この動と静の対比がたまりません。
沈没したように見せかけるための細工も常套手段なのですが、敵艦も良くこれにだまされてくれるんですよね(笑)。

主人公のタイラー大尉は艦長になれないことに不満を持っていますが、この若さで艦長というのは無理でしょう、と私は思います。副長というのだって、滅多にないんじゃないかな。でも、そのタイラーも予想外のUボートの艦長を任され、責任の重さを痛感し成長していきます。その彼を支えるのは、こわーい(笑)ハーベイ・カイテル。古参の潜水艦乗りで、新艦長に敬意を払わない者には容赦なく激怒します。この彼あっての新艦長であったことは間違いないでしょう。

ビル・パクストンは嫌いではないけれど、艦長としては人柄は良さそうだけれど貫禄不足かな? それにボン・ジョヴィは要するに顔見せだったんだろうか?など、キャストの不思議は数々ありますが、古き良き戦争映画の味わいを継承した懐かしさを感じる作りは嬉しかったです。

それにしても魚雷一発で、たちまち計り知れない犠牲者が出る戦争。たまりませんね。タイプライター(エニグマのことをこう呼んでいた)一つに命を賭ける乗員達も大変です。それでも皆さん、あれほど任務に燃えるのは偉いというべきか・・・。大きな戦争の前では、一つ一つの命がいかに使い捨てにされるかを改めて思いました。


☆最初のパーティシーン以外、女性が出てこなかった男たちの映画でした。そこが良かった(笑)。





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