おすすめ映画




































































コンドル



ONLY ANGELS HAVE WINGS

 1939年アメリカ映画コロンビア
 白黒 121分

監督 ハワード・ホークス
出演 ケーリー・グラント ジーン・アーサー
    リチャード・バーセルメス トーマス・ミッチェル
   リタ・ヘイワース アリン・ジョスリン
 ノア・ビアリー・Jr


船旅の最中に訪れた南米のある街で一時的に下船したボニー・リーは街を興味深げに見て回る。そんな時、パイロットのレスとジョーに声をかけられる。3人はパイロットたちの雇い主のダッチが経営するレストランでありホテルも兼ねるところで楽しげな会話を交わす。外は霧が深かったが、郵便を運ぶ使命を帯びる彼らは任務を要請されジョーが飛行機で飛び立つ。しかし、悲劇が・・・。自ら優秀なパイロットでありパイロットたちのボスであるジェフは、事故の悲哀を隠しつつ次の任務を考える。そんな彼に最初は反発を覚えたボニー・リーだったが、いつしか彼に惹かれていく。やがて、ここに新しい腕利きのパイロットがやってくる。マクフィアソンと名乗る彼は、実は前にジェフの親友キッドの弟を見捨てて一人だけ飛行機から逃げ出したパイロットで、パイロット仲間から軽蔑されていた存在だった・・・。

ハワード・ホークスが、エキゾチックな街を舞台に描く男のロマンとでも言いましょうか。パイロットたちの仕事は郵便その他を運ぶことで、経営を続けるためにもノルマを達成しなければならず少々無理な天候でも飛んでいきます。でも、彼らはそんな時も全然悲壮感を感じさせません。飛ぶことが好きで楽しくて仕方がない、といったようです。でも、そんな彼らを地上で見守る女性たちは気が気ではありません。飛び立ったが最後、生きて帰ってくることをひたすら祈るのみ。そんな夢に生きる男性とそんな彼らに時には反発しながらも離れられない女性たちのドラマです。でも、監督がハワード・ホークスですから、シリアスな中に笑いがいっぱい散りばめられています。ケーリー・グラントへの気持ちを自覚したジーン・アーサーが、迫っていく描写などもなかなか。グラントの親友キッドを演じるベテラン、トーマス・ミッチェルが笑いを誘い、ほろりとさせ、活躍します。しかし、トーマス・ミッチェルはこの1939年大活躍でしたね。主なところでも「駅馬車」「風と共に去りぬ」。映画史に残る大傑作ばかりに出演したというのも凄い。

今回のケーリー・グラントは、腕利きのパイロットであり決して職業はプレーボーイではないのですが(笑)、やはりアルバイトでプレーボーイをしているようで女性の心をつかむ腕はパイロット以上?でも、いざ仕事、そして仲間の危機となるとキリッとして無線でひたすら誘導する様は格好良く感動的であります。仲間の死にあったとしても彼らは表面的には淡々と過ごします。それだけに彼らの心の中を慮ると辛いです。特に仲間の形見分けのシーンは応えますね。相手役のジーン・アーサーもコメディ慣れしていることもあって巧いです。どうしても惹かれてしまう女心の綾を時には激しく、時には涙で見せます。結構そそっかしいところもあったりして・・・。

新しいパイロットとしてやってくるマクフィアソンは、実はパイロット仲間の中では汚い奴と軽蔑されている男でした。誰も彼を仲間として受け入れようとせず、彼は敢えて危ない仕事ばかり押しつけられても黙々とこなします。演じるのはリチャード・バーセルメス。サイレント映画の大スターだったバーセルメスの後年の姿です。言い訳は一切せぶただ黙々とプロの仕事に徹するあたりは、なかなかです。その彼の妻役のリタ・ヘイワース。まだブレイクする前でしたが、やはりあでやかでパッと画面に咲いた艶やかなダリアといったところでしょうか。これがカラーだったら、すっかり場をさらったかもしれません。

でも、これは基本的には男のドラマ。命を賭けて、九死に一生を得るような目にあっても、それでも飛ぶのをやめられない男の夢、ロマン。女性はただ苦笑して見守るしかないのかもしれません。

☆キッドのコインの落ち、洒落てますね。でもあれだけで気を変えられる?やっぱりはっきり言って欲しい気も・・・。






(C) 2012 Paonyan?. All rights reserved