ワールドカップ特集
























2002/5/19
中山 雅史


1967年9月23日生まれ 日本
178cm


思えば93年のワールドカップアメリカ大会のためのアジア予選。1つの負けがキッカケでチーム状態が苦しくなって士気が完全に落ちていた時に、一人頑張っていたのがゴン中山でした。スーパーサブと呼ばれた彼は、試合に出てはゴールを決める。彼のパフォーマンスはチームを盛り上げ、再びあと一歩でワールドカップのところまで迫りました。最終戦のイラク戦に勝てば初のワールドカップ。ここでも彼はゴールを決め、ベンチに引っ込んでからは時計とのにらみ合い。刻々と過ぎるロスタイム・・・そして、「ドーハの悲劇」が起こったのでした。あの時、叫びながら後ろに倒れ込む彼の姿を見た日本国民は相当数いたでしょう。

それから4年後のワールドカップアジア予選では、ゴンは何と監督構想に入らずテレビ解説をしている日々。サポーターが日本代表の試合で「ゴン中山を代表に!」という大きな垂れ幕を掲げてゴン待望説が生まれていました。そして、運命はゴンを再び呼び寄せ、最終戦ジョホールバルでも得点。今度こそ「ジョホールバルの歓喜」に変わりました。

エースとして登場したフランスワールドカップ、世界の壁は厚く日本が挙げられたのはたった一点。それがゴンでした。ワールドカップで得点を決めたただ一人の日本人です。そしてそのあと、相手選手との接触で足を骨折しながらもプレーを続行。全く頭が下がりました。

今度も若手の急成長で、ゴンの代表入りの期待は薄かったけれど、最後の最後に大逆転。それまでにはやはりサポーターの熱烈な応援があったと聞きます。ジュビロのファン、ゴンファンは勿論、アウェイで対戦した相手チームのサポーターまで「ゴンを代表に!」コールをしてくれたとか。
ゴンは強運に恵まれた幸せ者です。

彼は実に日本的なプレーヤーです。どちらかと言えば古い根性物の世界。最後の最後まであきらめないで、泥臭いゴールを決めるという、決してスマートなタイプのプレーヤーではありません。でも、彼の最後まで光る情熱は観客の心の琴線を刺激するのですね。強い精神力、ネバーギブアップの根性、技術はあるけれど、精神的には未熟な若手の多い日本代表で、彼の精神的支柱としての役割は大きいと思います。それが10番という背番号に現れているのでしょう。

軽くて笑いを取る言動で有名な彼ですが、結構実生活では真面目と聞きます。実際、記者会見の時など受け答えも(若い時から)しっかりしていて、変な話ですが敬語や丁寧語の使える選手なのでした。彼のそんなところも好きです。

前回のワールドカップのゴールでは、あと一点を焦ってゴールを決めても喜ぶ暇もなかったのが可哀想でした。今度はゴールを決めて思い切り喜んで欲しいし、そうさせてあげたいです。

頑張れ、34歳!



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